「Everybody eats everyday」と言われるように、食や料理というのはすべての人が絶対に関わりを持つもので、その市場規模は全世界で700兆円を越えると言われていることからも大きな可能性を秘めている領域であることが分かります。
しかし、「あなたは料理を楽しんでいますか」という質問に対して、6割以上の人が義務感でやっていると回答するなど食に関わる課題というのはまだまだたくさん残されていて、AI(人工知能)やIoT(モノのインターネット)などの技術を組み合わせることでイノベーションが生まれる大きな余地が存在するのです。
世界的な家電量販店のイケアは未来のキッチンがどのような姿になっていくのか考えるために、デザインコンサルティングファームのIDEOと協力して、10年後のキッチンの姿をデザインした「コンセプトキッチン2025」を打ち出しました。
(出典:ideo.com)
「A table for living」と名付てられたダイニングテーブルは天井の照明にカメラとセンサー、プロジェクターを取り付けることで、テーブルの上に置かれた食材を検知してそれを使って作れるレシピを検索したり、テーブルの表面に調理方法を映し出したりできるといいます。
テーブル本体には測りと電磁誘導コイルが内蔵されていて、テーブルの上に置かれた材料の重さに合わせてレシピに必要な材料の分量を調節したり、鍋やフライパンを置けばコンロとして調理をできたりとテーブル1つでありとあらゆる用途に対応しているのです。
未来にはドローンや無人車による生鮮食品の配達が一般的となって、週末にまとめて買い出しを行う必要が無くなるだろうという視点からは、中が見えずに多くの電気を消費する冷蔵庫ではなく温度を調節できるパントリーを使おうというアイデアも取り上げられました。
(出典:conceptkitchen2025.ideo.london)
(出典:ideo.com)
紹介した他にも、生ゴミを自動で乾燥・圧縮したり、リサイクルできるゴミは自動で粉砕して真空包装するゴミ処理機や、使われた水のキレイな部分を植物への水やりに再利用するシンクなど、イケアのキッチンは単なる機能的なキッチンではなく、10年後の世界で私たちがどのように考え行動しているかということに基づいで考えられているようです。
最新のテクノロジーが登場すると私たちはつい目が奪われがちですが、イケアのコンセプトキッチンが私たちに教えてくれるのは、私たちがテクノロジーを使ってどう空間をデザインしていくのかが重要だということで、やはりそこで中心になるのは技術ではなくて「人」だということを忘れてはいけないと思います。