海外には、日本のビジネスシーンを皮肉ったこんなジョークがあるそうです。
「日本人は会議の開始時刻には厳密だが、終了時刻にはきわめてルーズだ。しかも誰もそのことを悪いとは思っていない。開始時刻にルーズなイタリア人と、終了時刻にルーズな日本人には何の違いもない。」
このジョークに反抗するためか、会議時間の上限を決めたり、座らず立ったまま会議を行ったり、会議に使う資料を制限する工夫をしている企業もあるのだとか。でも、残念ながらこれらの工夫は「会議の時間を短くする」だけにしかなりません。
カルビー代表取締役会長兼CEOの松本晃氏は、2009年に就任して以来、「ノーミーティング、ノーメモ(会議不要、資料不要)」を訴えてきました。上級執行役員以上の幹部会議を半分以上減らし、経営指標をA4サイズ1枚にまとめるなど会議資料も大幅に削減したそうです。
合理性が重要なのだと指摘する松本氏。合理性・効率性は創造性と相反すると言われていますが、ムダなことに時間を取られていてはアイデアを生む時間すらも持てません。ムダを省きながら必要なことは、合理的に進めていくことで仕事の「質」を上げていくことができるのです。
実際、「ノーミーティング、ノーメモ」による弊害は今のところ何も出ていないばかりか、2011年3月にカルビーは東証1部上場、そして7期連続増収増益と躍進を続けていると言います。
トリンプ元社長の吉越浩一郎氏も、効率的に働くことを推奨してきた人物のひとりです。社長就任時は、朝8時半から1時間かけて行う早朝会議というものを続けていたそうで、この1時間のうちに話し合う議題の数は40~50個。つまり、1つの議題にかけられる時間は2分程度ということになります。
「会議の効率は準備で決まる」と明言している吉越氏は、資料は意味が分かればいいので立派なものは不要とし、ただ、議題ごとの担当者が解決策をまとめて会議に臨むよう命じていたそうです。会議の場では、その解決策がいいかどうかを判断するだけ。2分もあれば充分というわけです。
儀式のように手順通り進める会議なんて、そろそろ止めにしませんか。会議はやらなければならないなんてルールはないんですから。