出世コースに乗るためには兎にも角にも「仕事のデキるヤツ」だと思われなければいけない・・・こんなふうに考えている方、少なくないのではないでしょうか。
女性週刊誌「女性自身」の編集長を務めていた櫻井秀勲さんは、このような考えを「大きな間違い」と断言。他社のトップに自分の名前を知ってもらい、味方につけることから出世に繋げていくというチャンスは、社内の業務だけでつかめるとは限らないと指摘しています。
経営の神様と呼ばれる松下幸之助さんも、その仕事ぶりは会社以外のところでも垣間見られたそうです。松下さんは大切な取引先との会食で相手好みの料理を選ぶことはもち
ろん、エアコンの位置を確認し、風が吹く方向を測ってタバコの煙が非喫煙者にいかないよう席替えまで指示したと言います。
名脇役として数々のドラマや映画に出演しているムロツヨシさんは、広い交友関係を使って仕事に結びつけているそうです。その交友関係とは本当に幅広いもので、小栗旬さんや山田孝之さんなどの人気俳優から小泉純一郎元首相までに多岐にわたるそうです。
そんなムロツヨシさんは、とにかく相手の近くに寄っては「ムロツヨシです」と連呼しアピールするそうです。時にはアピールの一環として得意料理を振る舞うこともあるのだそう。なんとこの得意料理のおかげで映画の出演が決まったこともあるといいます。
「僕、ムロ鍋っていう得意料理があるんですよ。それを誰かに持っていって、食べてもらうことで話題の中心にしてもらったりするんです。映画の仕事も2本くらい鍋で取ってます。ムロ鍋を食べさせるためにキャスティングしたと言ってくれる監督さんもいます。」―ムロツヨシさん
草履を温めて織田信長の心を掴んだという逸話で有名な豊臣秀吉は、敵対する相手までもをうまく味方につけて天下統一を実現しました。その敵対する相手というのは、あの徳川家康です。秀吉が天下の3分の2を握った頃、残りの敵勢力である徳川家康を自身の部下に付けようと、秀吉は家康に「大阪に来てほしい」と何度も手紙を送っていました。
当然ながら、暗殺を恐れる家康は動きません。ここで秀吉は自分の妹を離縁させ家康に嫁がせます。さらに実母までもを事実上の人質として家康に送ると、家康はようやく大阪に出向き、ついに秀吉の部下になることを了承したのです。
一般的には「誰にでもいい顔をする人」は良く思われないものですが、誰にでもいい顔をするということは、言い換えれば「相手の心を掴んで懐に入っていける人」ということ。出世のチャンスは仕事の現場だけに転がっているわけではないのかもしれませんね。

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