書店に行けば、限りないほどのリーダーシップ関連の書籍が並べられています。
どんなビジネスマンにとっても、"リーダー"は1つの目指すべき軸になっているのかもしれません。
しかし、哲学や倫理学を専門に研究している鷲田清一さんは、リーダーシップがもてはやされていることは非常に奇妙だと言っています。
その理由を次のように述べています。
「みなが『おれが』『わたしが』としゃしゃり出てくるような集団は、組織としては絶対にうまく機能するはずがない。」
ワールドカップ2大会連続でキャプテンを務めたサッカー日本代表の長谷部誠選手は、キャプテンとして“余計なことはしない・言わない”ことを心がけていたそうです。
唯一やったことと言えば「キャプテンは泣かない方が良いと思い試合に負けても我慢して泣かなかったこと」くらいと振り返っています。
また、野球選手のイチローもリーダーのあるべき形についてWBC(ワールド・ベースボール・クラシック)後のインタビューで述べていたことが印象的でした。
「よくチームにはリーダーが必要だとか、安易な発想があるけれど、今回のチーム(WBC日本代表)に全くそんなものは必要なかった。それぞれが、向上心を持って、何かを得ようとする気持ちがあれば、そういった形は全くいらない。むしろ、ない方がいい。」
近年のモノ・サービスが充実した現代社会では、消費者の価値観やニーズが多様化しています。
さらに、情報通信の発展によって人々の興味・関心は猛スピードで移ろいでいますが、こうした状況の中でマニュアルに従ったり、リーダーの指示を仰いだりしているのでは柔軟かつ素早い対応ができません。
顧客の要求に応えるためにも従業員は自律的に動き、個別に対応することが自然と必要になってくるでしょう。
リーダーになることより、リーダーのように能動的に動くことが組織や顧客に貢献できる一番の働き方なのです。