2016年は一年を通して不倫問題が世間を賑わせていましたが、不倫ネタにウンザリしている方もいらっしゃいますよね。
著書「五体不満足」で一世を風靡した乙武洋匡さんの不倫問題も大きく報道されました。「"乙武でさえ"あんなにモテてるのか」と世間のザワつきがより一層強くなったのを記憶しています。
実は、彼は「五体不満足」の出版以降、長い間頭を悩ませていたことがありました。障害者であるという理由だけで清廉潔白な聖人君子のようなイメージを持たれてしまっていたことです。
当然ながら不倫をしてしまったことに対しては深く反省したそうですが、この騒動をきっかけにようやく本来の自分を知ってもらえたと、喜びもあったと言います。
「心のどこかでホッとしている自分がいるのも否めない。これで、ようやく自分が大した人間ではないことがわかっていただけた。」(乙武洋匡さん)
現代では、養護学校・障害者施設や補助金など社会福祉が充実していますよね。この"充実してしまった"社会福祉があるために、障害者がなかなか自立できないという現実があること、皆さんはご存知でしょうか。
たとえ支援事業所で働いたとしても、1万円程度の生活できないような賃金しか支払われません。こんな条件では障害者たちは誰かに頼りながら生きていかなければなりませんよね。
IT企業を創立し障害者の採用を推進している渡邊幸義さんの話によれば、発達障害を持つ人たちの多くは文章を扱うのは苦手とする一方、工程表のチェックなどの確認作業は得意なんだそうです。長時間にわたって同じ動作を繰り返しても1回も間違いが起きないと言うから驚きです。
ある一説では、お面でよく見る「ひょっとこ」は脳性マヒ者を表すものだとされています。かつて、消えて無くならないように火を守る仕事を体を使わなくてもできる仕事として身体障害者に任せていたそうです。「火を守る男」から「火男→ひょっとこ」になったのだとか。
「障害者も社会の一員として生きている」
こう話すのは、俳人でありながら障害者団体のリーダーも務める花田春桃さん。昔の日本では障害の有無に関係なく、すべての人が何らかの役割(仕事)を持ち共存していたのかもしれませんね。
乙武さんが不倫騒動のさなかに「正直ホッとした」と素直な気持ちを漏らしたことを考えると、障害者は「特別扱いしてほしい」なんて思っていないんだろうなと感じます。
それに、障害者への過剰な思いやりは障害者と健常者の間に壁を作るだけなのかもしれません。障害者が自立して生きていけるような明るい未来を目指すには優しさだけじゃ物足りないんですよね。