恋愛の話題になると、彼氏(彼女)に頼りたい、甘えたいと願う人が多いですよね。でも、仕事の話題になると一転。「頼られるようになりたい」という人は多いですが、積極的に誰かに「頼ろうとする人」は少ないように感じます。
今やテレビや雑誌など、多くのメディアから引っ張りだこになっているマツコ・デラックスさん。必死にもがいて今の座を勝ち取ったわけではなく、ただ単に、流れに身を投じてきた結果だと、本人は冷静に分析しているんです。
「流れに身を任せ、流れ着いた先で本気を出せばいい。これがアタシの信条。流れ着いた場所が居心地悪かったとしても、そこでできる限りのことをしていれば、いい風が吹いて、誰かが別の場所に引っ張ってくれる。(中略)けっこう他力本願なところがあるのよ。」―マツコ・デラックスさん
毎日テレビで目にする人と言えば、お笑い芸人で毒舌キャラの有吉弘行さんも忘れてはなりません。猿岩石として一度はお笑い界の頂点に昇りつめましたが、人気は一気に急降下。人生のどん底を味わった彼もまた、「誰か助けてくれると思ってます」と明言しています。
「仕事がないときは、(ダチョウ倶楽部の)上島さんとか『竜兵会』の金で生きてたし。僕の周りの、『よっぽどのクズだな』と思うヤツでも、本当に困ったときは誰かが助けてくれますからね。だから、何とかなるんですよ。」―有吉弘行さん
「自力」が推奨される世の中のように感じますが、正直、自力には限界があるため、山あり谷ありの人生を乗り越える力としては充分ではありません。実はこれ、浄土真宗の宗祖、親鸞の思想でもあるんです。
比叡山での長く厳しい修行を経験した親鸞はある日、煩悩からなかなか離れることができず「自分ではどうすることもできないことがある」ことを発見します。これを機に、親鸞は自力から他力の思想へと転換。煩悩も、身の上に起こる一切の出来事も、すべて「他力」が招いたことであると理解するようにしたのだそうです。
宗祖である親鸞が「他力のせいにした」ことには驚きますが、所詮、私たちの自力には限界があって、世の中には自力ではどうしようもできないことで溢れ返っています。だから頼ることが悪いことなんて思わないでください。