アニメ映画「メアリと魔女の花」といえば米林宏昌監督がスタジオジブリを退社してから初めて手掛けた作品ですが、ジブリファンからは「過去の作品に似ている」という声が多くあるそうです。
この点、米林監督と同じくスタジオジブリ出身の西村義明プロデューサーは「宮崎駿さんのアニメーションを一子相伝で受け継いでいるのは米林監督」と断言しています。米林監督の作品に”ジブリの血”が流れていることに誇りを持っていると言います。
実際、スタジオジブリには「仕事は真似をしながら覚えていくもの」という文化があるそうで、あの宮崎駿監督も、かつては師である高畑勲さんの真似をしていたそうです。それも考え方や立ち振る舞いのみならず、話し方や文字の書き方まで。20年もの間、徹底的に「真似」をし続け、日本を代表するアニメ映画監督に成長していきました。
マネジメント層を対象に個別カウンセリングを行っている心理カウンセラーの松山淳さんも「真似とは他者から真剣に学ぶ姿勢のこと」と話しています。
「誰からでも学ぼうとする姿勢こそがリーダーをよりリーダーらしく成長させる。」そう述べる松山さんは、リーダー研修を行う際に「尊敬できるリーダーがいたらどんどん真似るといい」と繰り返し伝えているそうです。
国内に1000店舗以上展開しているドトールコーヒーは、フランスのカフェでの立ち飲みスタイルからヒントを得て誕生しました。「優れた人物・優れたものがあったら恥じることなく大いに見倣って勉強すべき」という考えを持つ創業者の鳥羽博道さん。
「徹底してその人に見倣い、研究し、模倣する。その過程で個人の能力は相当高まるだろう。そして、その高まった能力によって個人のオリジナリティというものが生み出されることになると思う。」徹底的に模倣することが自身を成長させ、さらに成長した自分から新しいアイデアが生まれると鳥羽さんは話されています。
とはいえ「真似る」ことは他人のやり方を盗むことでもありますから、努力をしないでズルい人だと思われることもあるかもしれません。しかしながら能や歌舞伎のような伝統芸能でさえも、「師匠の動きを徹底的に真似することから修行が始まる」と言われています。
そもそも「学ぶ」の語源が「真似る」であるように、真似ることこそ学びの基本なのかもしれません。それを踏まえた上で、尊敬する上司や先輩の良いと思うところをどんどん真似してみてください。真似をすればするほど、自分自身の成長も感じられるはずです。