矢野経済研究所の調査によれば、2016年度のクラウドファンデングの日本市場は、前年度比96.6パーセント増の745億5,100万円で、2017年は前年度比で46.2パーセント増の1,090億400万円を見込んでおり、不動産業界でもクラウドファンデングを通じて1口1万円の少額から、スマホを通じてプロジェクトに参加できる環境が整い始めています。
不動産のクラウドファンデングはお金を出した見返りとして何か商品をもらうのではなく、プロジェクトが成功した場合は収益の数パーセントから数十パーセントを貰うという形のもので、収益は規模や内容によって大きく異なりますが、平均として6〜12パーセントぐらいのリターンが平均のようです。
ほんの少し前まで、不動産投資と言えば基本的に裕福な人が行うもので、一般の人にとっては馴染みが薄いものでした。また、資金を集める側からしてみても、不動産に投資する投資家というのは極端にローカルの人達に偏っていましたが、クラウドファンデングを通じて様々な人達が少額で投資できるようになったことで、資金集めのエコシステムもかなり効率化し始めています。
(Crowdstreet/1031crowdfunding)
作家のLarry Downes氏とアクセンチュアのPaul Nunes氏は、ハーバードビジネスレビューに共同で寄稿した記事の中で、今後、クラウドファンデングによってファイナンスが加速することで、不動産を含めた世の中のイノベーションがどんどん加速していくのではないかと指摘しています。
近年、世の中の興味は地方に向き、地方では様々なプロジェクトが立ち上がっていますが、ローカル銀行の経営は非常に厳しく、ベンチャーキャピタリストの目もまだまだ地方に目が届いていません。
しかし、クラウドファンデングを通じて、街の開発者と小さな投資家が繋がることで、今までは行政や地方のしがらみで実現できなかったことが、アイデア次第では、外からどんどんお金が集まり、新しい形の街づくりが実現していくことでしょう。
(Crowd-Realty)
不動産のクラウドファンデングの一つの特徴として、基本的に利益は長期的に見るものであり、仮に1年間などの決まった期間で投資した場合、その期間中にキャンセルすることはできないので、手持ちの資産の流動性は悪化します。
もちろん、不動産のクラウドファンデングにリスクがないわけではなく、プロジェクトが失敗する可能性も十分あるわけですが、2025年のアメリカでは不動産のクラウドファンデング市場は約30兆円になると見込まれており、恐らく日本もこの流れを拒むことはできないでしょう。
ほんの少額であっても、自分のお金で街が機能し始めれば、またいつもとは違った視点で街を見ることができるようになるのは恐らく間違いありません。

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