Good Life Journal

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実は不動産の「おとり広告」はポータルサイト側が生み出している!?

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毎年1月~3月は、お部屋さがし・お引っ越しをされるユーザーが多く、不動産業界では繁忙期シーズンに入るそうです。先日、引っ越しを検討しているため、インターネットでSUUMO(スーモ)HOME'S(ホームズ)といった賃貸アパートや賃貸マンション情報が数多く掲載されている不動産ポータルサイトで物件情報を検索していました。皆さんもそのような経験がある方は多いのではないでしょうか。

そんな中、不動産屋さんに気になった物件をインターネットから問い合わせたら「すいません!その物件はもう空いてなくて・・・」なんてことを言われた経験もありませんか?私が問い合わせた物件も3件中2件が空いてないと言われました。しかし、2週間ほど過ぎても、その空いてないと言われた物件が未だに掲載されています。

ユーザーからすれば「だったらなんで空いてない物件を掲載してんだよ!」って思われる方も多いと思います。ということでこの件に関して気になったので、知り合いの不動産会社に務める方へ話を聞いたりするなどして色々調べて見ました。

  • 不動産の「おとり広告」とは?

(おとり広告)
不動産の表示に関する公正競争規約 第21条 事業者は、次に掲げる広告表示をしてはならない。

(1)物件が存在しないため、実際には取引することができない物件に関する表示
(2)物件は存在するが、実際には取引の対象となり得ない物件に関する表示
(3)物件は存在するが、実際には取引する意思がない物件に関する表示

 上記の通り、公正競争規約で「おとり広告」に該当する物件情報を定義付けています。おとり広告は、「表示規約」、「景品表示法」、「宅地建物取引業法」に違反し、不動産広告においてもっとも重大な違反に該当します。これらに違反すると不動産業者に対し、以下の措置や罰則が付与される場合があります。

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  • 違反の大半はインターネット広告

下記の表1は、「厳重警告以上の措置に占めるインターネット広告の割合と件数」で、平成24年度以降はインターネットが80%を超えており、減少傾向にあるとは言えない状況だと思います。

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この違反件数の数値だけを見ると、悪質な不動産業者だ!と思われても仕方がないかと思いますが、しかし、そもそも何故「おとり広告」が生まれてしまうのか・・・不動産業者だけが本当に悪いのか!?不動産ポータルサイトを運営しているメディア側には問題はないのだろうか!?

  • 不動産業者側の視点で見てみる

どのようにして不動産ポータルサイトへ物件情報が掲載されるのか!?複数店舗をチェーン展開している大手の不動産業者と個人経営しているような町場の不動産業者とでは掲載方法が異なります。

大手の不動産業者は自社システムに物件情報を登録し、ポータルサイト側とのシステム連動にて1日1回物件情報の更新を行っています。町場の不動産業者ポータルサイト側が用意した管理システムへログインして、そのシステムへ物件情報を登録更新(SUUMOの場合は1日4回更新)しています。

昔は不動産屋へ行かないと物件情報を入手することはできませんでしたが、インターネットが普及した今のご時世ではユーザー自らがいつでも好きな時にポータルサイトから物件情報を取得し、比較検討し、不動産会社へ問い合わせるという流れが当たり前になっています。

つまり、不動産ポータルサイトができてからは、ユーザーが不動産屋に行って、物件情報の紹介を受けるという流れから、ユーザー自らがインターネット上で物件情報を選別できるという流れに変化してしまったため、常に不動産業者は、いかにしてポータルサイト上から自分のところが掲載している物件情報をより多くのユーザーに見て貰えるようにするのかがとても重要な業務になっているのです。

  • 不動産ポータルサイト(インターネット)上でのユーザー争奪戦

不動産ポータルサイトを制する業者がより多くのお客さんを獲得することができる。こんな図式がいつの間にか出来上がってしまっているため、より多くの物件情報を掲載すれば良いと考える不動産会社も多いことでしょう。

しかし、1つの物件情報を登録するのにいったいどれだけの時間とコストがかかっているのでしょうか。1つの不動産店舗に何人のスタッフがいるのか!?色々調べてみるとだいたい平均3人から5人くらい在籍しているとのことでしたが、そもそも1日1人で何件もの物件情報を登録し、また登録した情報の更新作業(成約したら削除する作業)も何件できるのでしょうか!?

首都圏不動産公正取引協議会が推奨する基本ルールでは1つの不動産屋店舗が掲載している全ての物件情報を1週間から2週間の間に更新しなければいけません。SUUMO(スーモ)やHOME'S(ホームズ)といった不動産ポータルサイトを見ますと、1店舗あたり2,000件から3,000件掲載している不動産会社が散見します。多いところだと5,000件も掲載している不動産会社もあります。

これらの不動会社は本当に1週間から2週間の間にちゃんと正確に物件情報の更新作業ができているのでしょうか!?知人の話によれば、多くの不動産会社はやはりインターネットからの集客を重要視しているため、少々無理をしてでも不動産ポータルサイトへ多くの物件情報を掲載するために毎日物件情報の入力作業や更新作業を行っているそうです。むしろそれがメインの仕事くらいだの勢いでした。

また、SUUMO(スーモ)やHOME'S(ホームズ)といった不動産ポータルサイト側の営業担当者から「たくさん物件情報を掲載しないとお客さんから問い合わせが来ませんよ」などと勧めてくるそうです。

  • 不動産ポータルサイト側の仕掛け

不動産ポータルサイトを利用した方であればわかると思いますが、サイトを見ていると同じ物件が違う不動産会社からたくさん掲載されています。「これ、さっき見たのと同じじゃん。同じ物件しか載ってないじゃん」そんなことを感じている方も多いかと思います。

同じ物件を掲載している不動産会社からすれば、他の不動産会社より、うちに問い合わせを入れて来てほしいと思うのは当たり前かと思いますが、そのためにはサイトの中で自分のところが掲載している物件を目立たせなければいけません。

そこで、不動産ポータルサイト側では同じ物件を1つにする「名寄せ機能」というもので1つにまとめて表示し、数ある不動産会社の中から選ばれた不動産会社の情報だけを目立たせて表示するようにしているようです。

この数ある不動産会社の中から選ばれるためには、物件の掲載写真数が多いなど、システムで自動判定し、情報が充実している不動産会社が選ばれるという仕組みになっているそうです。

また、別料金でオプション機能(パノラマ写真や動画など)を利用すれば、この選ばれる不動産会社になる確率が上がるという仕組みにもなっているそうです。話を聞いていると、不動産ポータルサイトのSEO対策!?とでも言うのでしょうか。しかし、こんな複雑な仕組みになっているとは知りませんでした。

  • 本来の不動産屋としての仕事(接客業)ができない

このようにSUUMO(スーモ)やHOME'S(ホームズ)といった大手不動産ポータルサイトのようなメディアが物件情報を調べるための最初の入口のようになっているため、最近の不動産屋さんは、日々、不動産ポータルサイト対策がメイン業務で追われているようです。

たくさんお客さんから問い合わせが欲しい。そのためには、たくさん物件情報を掲載しないといけない。数千件単位で掲載している物件情報を1週間から2週間の間に3人から5人で全ての物件情報の更新をしなければいけない。しかし、手が回っていないがために、更新作業が間に合わず実際は空いてない物件情報が掲載しっぱなしになってしまうことがある。

このような悪循環を作り出している仕組みの図式は不動産ポータルサイト側ではないでしょうか。不動産会社が1週間から2週間の間にちゃんと物件情報の更新が行えるように載件数の上限を規制するなど、不動産会社側が無理をしてまで掲載することができないような仕組みやルールにするべきだと思います。

よく不動産ポータルサイトを見ると、物件数No.1だとか、何百万件掲載といった表示を見かけますが、単に同じ物件が重複して掲載されている数をカウントしているだけで、何百万件”種類”もの物件情報が掲載されている訳ではないですよね!?

また、ユーザーから見れば、不動産会社は物件情報を取り扱うプロな訳ですから、物件やその物件が存在する近隣地域の正しい情報を提供するなど、本来の接客業に専念できる体制を作るべきだと思います。

1日もはやく、不動産ポータルサイト上から「おとり広告」が無くなっていくことに繋がるルールや仕組みの見直しがなされることを望んでいます。

広告禁止!ネット不動産進化論

広告禁止!ネット不動産進化論

  • 作者: 金丸信一
  • 出版社/メーカー: CKパブリッシング
  • 発売日: 2009/09
  • メディア: 単行本