「『死ぬくらいなら会社辞めれば』ができない理由(ワケ)」という漫画をご存知でしょうか。フリーのイラストレーター・汐街コナさんによる作品で、「死ぬくらいなら仕事を辞める」ことができない理由を解説しています。
かつてデザイナーとして月の平均残業100時間という仕事漬けの毎日を送っていた汐街さん。ある夜、終電を待つ駅のホームで「今一歩踏み出せば明日は会社に行かなくていい」ことに気づき、一瞬ホームから飛び降りようとしてしまった経験があるそうです。
自身の経験を踏まえ、自殺を選択してしまう人はどんなに辛くても「先輩や同僚が頑張っているから」という理由で、自分ももっと頑張らなきゃいけないという思考に陥ってしまうものと指摘。汐街さんはそんな人たちに向けて「頑張らない」ことを推奨しています。
さらにこんな意見も。多くのビジネス書を執筆している実業家の本田直之さんは、「頑張るのではなく、面倒くさいから手を抜こうとする人ほど実は成功する」のだと提言しているんです。
彼は料理研究家の奥薗壽子さんを例に挙げています。奥薗さんの料理の原点は何と言ってもいかに無駄な手間をかけずに美味しくヘルシーな料理を作るか、ということ。「ズボラ派家庭料理研究家」と名乗るくらいですから、面倒くさいことはとことん省略するのが彼女の流儀だと言います。
例えばジャガイモの皮むきが面倒くさい場合は剥かずにどうにかしようと考えることで、新たな工夫が生まれるのだとか。本田さんは、面倒くさがり屋の人は手を抜くためにはどうすればいいかを考えるため、新しく且つ良いアイデアが浮かぶのだと、手抜きをすることのメリットを説明しています。
かの発明家トーマス・エジソンも、手抜きの天才でした。彼は鉄道会社で電信技士として働いていたのですが、仕事の内容と言えば、ずっと踏切を見張っていて定期的に「そちらはどうか」という通信を受信したら「異常なし」と返信するだけ。あまりにも退屈な仕事に嫌気がさしたエジソンは、ゼンマイ時計と電信を組み合わせて一定時間ごとに「異常なし」と自動返信する機械を作ってしまったと言います。
仕事を頑張っている人の姿はどこか輝いて見えるものですが、頑張らずに手を抜くことで思いがけない良いアイデアが生まれることもあるようです。実は「手抜き」って、そこまで悪いことではないのかもしれませんね。