地球が1月1日に生まれたとして、誕生してからこれまでを「1年間」として考えたとき、バレンタインデーのころには最初の生物が生まれますが、ヒトが登場するのはなんと、紅白も終わる12月31日午後11時37分となるのだそうで、私たちが地球に現れたのは本当にごく最近のことなのだとわかります。
そういう時間軸で考えると、人間よりずっと前に誕生していた生物と人間が持つ常識が同じわけがないと考えるのが当然のはずなのに、私たちは自分の尺度で生物を比べ、植物についても人間より下等だとみなすようになりました。
けれど、植物の中には体の95パーセントを切られたり食べられてしまっても大丈夫なものもいますし、その辺のアサガオのほうが私たちより遺伝子の数が多く、植物は地球上の多細胞生物の総重量のうち99.5~99.9パーセントを占めるほど繁栄していて、実のところ私たちより植物のほうが一枚も二枚も上手だと示す事実は無数にあります。
ダーウィンが植物に知性があるという方向で考えていたことをはじめ、植物の能力の高さを伝えようとしていた偉人は多く、ついに2009年、スイスの専門家たちの報告書には「花を摘むのは『斬首』に等しい」と記され、スイスは植物に一定の尊厳を認める最初の国になりました。
「脳を持っているということだけが知性ではない」と語るフィレンツェ大学のステファノ・マングーソ教授は、植物が「動かない」と思われていることも間違いで、植物はただ動きが遅いから人間に止まって見えるだけであり、植物だって光のあるほうへと体を傾け、水を求めて根を深く伸ばし、動いている生物なのだと述べています。
アメリカのスペースX社は2018年に民間人2人を宇宙へ送り出すと発表し、人本来の身体能力から離れていく一方の世界では、のんびり生きる植物を知覚することがますます難しくなるでしょう。
そんなときは、ギリシャの天才プラトンが人を「逆立ちした植物だ」と言ったように、逆立ちをして「世界がどう見えるのだろう」と試してみる、それが無理そうならイメージしてみるだけでも、植物たちとつながっていられるような気がするのです。

植物は〈知性〉をもっている 20の感覚で思考する生命システム
- 作者: ステファノ・マンクーゾ,アレッサンドラ・ヴィオラ,マイケル・ポーラン,久保耕司
- 出版社/メーカー: NHK出版
- 発売日: 2015/11/20
- メディア: 単行本