欧米のミツバチが攻撃的なのに対して、日本のミツバチは外敵に襲われると戦わずに巣からお尻を出してじっとしているそうですが、興味深いことに人間の世界でも同じことが起きています。
欧米人が子供を守る時に加害者に立ち向かっていく一方で、日本人は子供を抱きかかえて加害者に背を向ける傾向があり、こうやって見てみると「強いものには抵抗しない」という行動規範が日本人の遺伝子にはすり込まれているのかもしれません。
実際、恐怖の感じやすさを決める遺伝子には、SS型と呼ばれる最も不安や恐怖を感じやすい遺伝子タイプがあって、この遺伝子を持つ人の割合を国別に調査したところ、日本人は97パーセントの人がこの遺伝子を持っていることが分かり、科学的にも日本人は世界一ビビリな国民だということが明らかになっています。
ビビリというと一見ネガティブな印象を受けますが、この戦わない姿勢は生物学的に見れば、生き残る上でなくてはならない能力の一つだと言えるのです。
例えば、自然災害は避けられるものではなく、時と場合によっては簡単に人間の命を奪うことができるほど大きな力を持っているため、自然に対して戦いを挑むことは愚の骨頂だと言えます。
よく日本人は日常生活の中で「仕方がない」と口にしますが、どう考えても勝ち目のない大きな力には逆らわないという一種の“諦め”があるからこそ、万が一の場面でもヘコタレずに脅威を受け入れることができるのです。
近年は、個人も企業も「グローバル化」という言葉に踊らされてガツガツ議論を重ねるなど、欧米式の考え方を採用する方向に向かっていますが、欧米人は立ちはだかるものは実力行使でなぎ倒して道を作ってきた人種であるため、小心者な日本人が欧米人と同じ価値観を共有するのは無理があるのではないでしょうか。
「海外進出」や「MBA」などの言葉に心を揺さぶられて芯がブレやすい時代に生きているからこそ、日本人は無理して強がらなくても、今まで通りビビリを貫き通していれば良いだと思います。
だって、不測の事態が起きた時にはいつものように「仕方がない」と言いながら、どうすれば良いか考えれば良いだけなのですから。