普段の生活の中で私たちは当たり前のように石鹸や洗剤をよく泡立て、手洗い、洗髪、そして洗顔と体を常に綺麗に保とうとしますが、それらの行為は本当に必要なものなのでしょうか。
人の体から出る脂質は水溶性であるため、汚れの80パーセント以上は水で落とせますし、日本の水は軟水で洗浄力が非常に高いのでわざわざ洗剤を付ける必要はありません。
実際、歌手で俳優の福山雅治さんがシャンプーや洗顔フォームを一切使わないという話はあまりにも有名です。
よく考えてみれば、人間の体から水で落とせない汚れが出るはずがなく、もし水で落とせない汚れがあるとすれば、それはある意味カラダにとって必要な汚れだと考えることが出来るのではないでしょうか。
人の皮膚には皮膚常在菌と呼ばれる表皮ブドウ球菌やアクネ菌などの微生物が一兆個も存在しており、それらの無数の菌のバランスによって私たちの肌は守られています。
ただ、洗顔クリームのテレビCMなどで「ニキビの原因となるアクネ菌を減らす」などと言われると妙に納得してしまいがちです。
ところが、そういった菌が肌を荒らすのは、洗浄力の強い洗剤でそれらの菌を洗い流してしまうことで、無防備になった肌が自分を守ろうとして前よりも多くの菌を発生させることが原因であるため、そもそもニキビを作らないためには洗顔をやめれば良いだけの話だということが分かります。
無農薬農業で有名な赤峰勝人さんは、畑の雑草すら抜かないことで知られており、なぜならそれらの雑草が作り出すミネラルや微生物が土を穏やかな状態に保つからなのだそうで、それは人間の肌も同様、人間の体から出てくるものにも何かしらの意味があるということなのでしょう。
実際、最近の子どもに原因不明の皮膚炎が増えていると言われますが、それは現代人が潔癖になりすぎて、すぐに子どもの体を「抗菌ウェットティッシュ」などで拭くことで肌を守る常在菌が住みにくくなっているのかもしれません。
よく泡立った洗剤や、抗菌と書かれた製品を使うと何となく綺麗になった気分になるのは紛れもない事実でしょう。でも、それらの製品を使うことによって体に何が起こるのかを考えるクセは付けておいたほうが良さそうです。

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