二度寝というと、朝の貴重な時間を削り、時間通りに起きられなかったことへの罪悪感をも感じてしまう、とんでもない悪習というイメージが強いですが、実は二度寝は、現代人を悩ますうつ病の対策や、早起きの習慣化に効果的なのです。
「セロトニン」という神経伝達物質が不足して、感情の浮き沈みがうまくコントロールできなくなってしまううつ病には、朝の日光を浴びることが効果的と言われています。
しかし、うつ病にかかると布団から起き上がることすら億劫と感じてしまい、一日中暗い部屋で過ごすことが多くなり、気分がさらに落ち込んでいってしまいます。
その対策として、目が覚めた時にカーテンを開け、日光を取り込んだら、暖かい日差しにうつらうつらとしながら、日向ぼっこをする猫のように二度寝を楽しめば良いのです。
日光浴の効能に加え、二度寝は多幸感をもたらす「エンドルフィン」という脳内麻薬を生成し、「コルチゾール」という抗ストレスホルモンも多く分泌するので、1日を始める上での入念な心のウォーミングアップにもなります。
また、アメリカ独立宣言の起草者でありながら物理学者や気象学者の顔も持っていたベンジャミン・フランクリンは二度寝を生活に上手く取り入れていました。多忙でありながら毎朝、生産性の高い時間を読書や執筆の時間に当て、睡眠不足を感じた日には一度起床した後に、ベッドに戻り、十分な睡眠をとっていたのです。
この生活習慣は現代人にとって理想的で、働いていると、残業や付き合いで就寝の時間が変動し、起床時間もそれに合わせてずれてしまい、早起きの習慣が定着しないことが多いのですが、フランクリンのように、睡眠不足は二度寝で補うと考えれば、就寝時間に左右されずに一定の起床時間を保つことができるでしょう。
どのような行為も、行う人次第で良い方向にも悪い方向にも転びます。悪習だと考えられている二度寝ですが、意識的に生活に取り入れることで多くの現代人を悩ますうつ病への対策や、早起きの習慣化に一躍買うことのできる、良い習慣へとなり得るのではないでしょうか。

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