Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

おばさんの世間話は、企業の重役会議より10倍は大切で、価値がある。

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今年、バカリズムが原作・脚本・主演を手がけたドラマ「架空OL日記」は、「会話の脱力感がちょうどいい」「かなりリアル(笑)」といった感想がみられて多くの共感を読び、放送批評懇談会からもギャラクシー賞月間賞を送られたそうです。

このドラマのもととなっているのは、バカリズムが2006年から2009年の約3年間、OLのフリをしてやっていたブログ「架空升野日記」で、まさかバカリズムによって書かれているとは思いもよらない自然さがあります。

その中には架空OLたちが、連休に行く温泉旅行の計画を練っていたのが、気づいたらいつのまにか課長や支店長の愚痴大会になっていたり、また別の時にも、「DRAGON BALL」の話から、なぜか課長や支店長の愚痴大会に落ち着くという、おしゃべりの様子も描かれていました。

それをバカリズム扮する架空OLは、「どこでどのきっかけでそうなったのか、全くわからないほどの綺麗なグラデーション」と言いますが、次から次へと隙間なく、流れるように話に花を咲かせている時ほど、女性たちが生き生きすることはないかもしれません。

人類学者の中沢新一さんと対談した、神戸女学院大学名誉教授で武闘家でもある内田樹さんは、「今日は『われわれはおばさんである』っていう話をしたかったんです」として、次のように述べました。

「『さ、無駄話はこのへんにして、そろそろ本題に入りたいんですけれど』と言われると、ほんとにムッとくるんですよ(笑)。せっかく人が楽しく逸脱してるんだから、放っておいてくれよって(笑) 。話がどんどん横へ横へと逸脱してゆくのって、僕としては絶好調のときなんです。」

東京大学名誉教授の養老孟司さんも「おばさん」派であり、「男でおばさん」の人たちは、論理にこだわるアカデミックの世界とベタな生活との間をふらふらしているもので、アカデミックな論理を世間一般の人が「ああ、そういうことってあるよね」と理解できるように訳すこともできるそうです。

「俺は男だ!」といきがるおじさんは、いきなり革命や戦争をやりだすなどしてろくなことがないともいいますが、世界なんて相手にしない、相手にするのは町内会というおばさんはなんでもローカルから始めます。

砂漠化の進むケニアで、1本の苗木を植えるところから始めたワンガリ・マータイさんのグリーン・ベルト運動は、普通のおばさんたちが自分のセンスで互いに教えあいながら広まっていき、40年間で5000万本の植林を達成して、2%だったケニアの森林率は6%に拡大しました。

ところが日本では残念ながら、“おばさん”に所帯染みた響きがあるためか、女性がおばさん化を嫌い、どんどんおばさんが減っているそうです。

おばさん不足な状況に乗って「男でおばさん」の台頭がうまく進み、トップダウンが嫌悪され、隣同士で横へ横へと話が広がっていくようになったら、おばさん化した社会はなかなか収集がつかなさそうですが、きっとわたしたちは明るくしぶとく生き延びることでしょう。

架空OL日記 1 (小学館文庫)

架空OL日記 1 (小学館文庫)

  • 作者: バカリズム
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2013/05/02
  • メディア: 文庫
 
日本の文脈

日本の文脈

  • 作者: 内田樹,中沢新一
  • 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
  • 発売日: 2012/01/31
  • メディア: 単行本
 
オバサンとサムライ

オバサンとサムライ

  • 作者: 養老孟司,テリー伊藤
  • 出版社/メーカー: 宝島社
  • 発売日: 2004/07/22
  • メディア: 単行本
 
UNBOWEDへこたれない ~ワンガリ・マータイ自伝

UNBOWEDへこたれない ~ワンガリ・マータイ自伝

  • 作者: ワンガリ・マータイ,小池百合子
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2007/04/11
  • メディア: 単行本