Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

毎日の職場の我慢は芸術へつぎ込め「日々の我慢を形として残す最高の方法。」

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太平洋戦争がはじまって、強制収容所に送られたアメリカに住む日系人や彼らの間に生まれた二世たちが、どうにもならない毎日の中ではじめたことは、砂漠に落ちていた鉄くずや枯れ木、地面を掘って見つけた貝殻を使った「ものづくり」だったそうです。

母親の持ち物の中に、収容所で作ったという鳥の置物を見つけたキュレーターのデルフィン・ヒラスナさんは、10年にわたって当時収容所にいた人たちの家をたずねて作品を集めてまわったあと、次のように言いました。

「作品を貸してくれたほとんどすべての人が、これは我慢する方法だったと言ったのです。笑って耐えるための方法だったと。」

監視塔からは兵士が自分たちに向けて銃を構え、有刺鉄線に囲まれた場所で暮らし、椅子やハサミなどの実用品から、仏壇、茶道具、着物姿の人形、花札まで、さまざまなものを美しくつくりだした彼らのアートは、「The Art of Gaman(我慢の芸術)」と呼ばれています。

「我慢」という言葉を今の私たちが使うとき、どれほどきつい仕事をさせられたか、どれほどたくさんの宿題をこなしたかなど、「自分はこんなに嫌だった」と証明するようなところがあるのではないでしょうか。

一方、収容所の人々がものづくりに込めた我慢とは、移民として一から築き上げた暮らしがいっぺんに奪われ、番号で呼ばれるようになり、とことん踏みにじられた自分たちの尊厳を、なんとか取り返したいという思いだったようです。

牢屋のような家に置くための家具をつくり、お世話になった人に「還暦祝い」の杖をつくり、好きな人に桃の種から指輪をつくり、孤児になった子どものために公園をつくり、そして、不穏な空気はつくらないようにしました。

2013年に「The Art of Gaman」の展覧会が、「尊厳の芸術展」として福島でおこなわれると、訪れた震災被災者から寄せられた感想の中に、次のような言葉があったといいます。

「終わった時間、過去はもどりません。今日できることをしっかり行い、前へ前へという強い思いを新たにしました。」

収容所の女性たちが砂漠の中で見つけた貝殻でブローチをつくったように、何か暮らしの中に小さな喜びをつくることから、人はいくらでも起き上がることができるのかもしれません。

ヒトに問う

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尊厳の芸術 強制収容所で紡がれた日本の心

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