歌手、俳優、ラジオ、そして写真家など様々な顔を持つ福山雅治さんは芸能界デビューしたときは役者でした。
そして、そこからシンガーソングライターの道に進み、ラジオや写真といった未知の世界に踏み込んでいったことで自分の可能性を広げていき、そのことに関してこのように述べています。
「変わったものもあれば、変わらないものもある。でも、まず、こだわりは捨てました。」
よく「こだわり」という言葉は良い意味で使われますが、この言葉には本来、全体を見渡せず細部にしか目が届かないという悪い意味があり、そういう意味において、こだわりは時として自分の可能性を狭めてしまう可能性もあると言えるでしょう。
東京都初の民間人校長として杉並区立和田中学校の校長を務めた経験のある藤原和博さんによれば、生涯ひとつの領域を突き進むのは前時代の生き方で、これからは複数の分野を組み合わせることで価値が生まれる時代なのだと言います。
例えば、何か一つの分野で100万人に1人になれる確率は0.000001パーセントなので、あまり現実的ではありませんが、100人に1人のレベルであれば誰でも努力すれば手が届くため、3つの異なる分野で100人に1人になって、それらの分野をかけ合わせれば「(100人に1人)×(100人に1人)×(100人に1人)」で100万人に1人の人材になることができるのです。
実際、明石家さんまさんはもともと落語家だったので、当時は「落語家のクセにテレビなんかに出て」と言われていたにも関わらず、そこにタレントの要素と司会者の要素を混ぜることによって誰にも真似できない価値を生み出してきました。
さらに、様々な要素を混ぜ合わえることで価値が出るのは芸能界に限らず、例えばファッション業界でも同じような事が言えるでしょう。
と言うのも、つい数十年前までは女の子のファッションは大きく分けてアキバ系とシブヤ系に分かれていたと言われています。
しかし、現代ではそれぞれの良いところを上手くミックスしたりアレンジすることが流行しており、その代表的な存在とも言えるのが秋葉原と渋谷の文化を融合して生まれた秋渋系ファッションの「きゃりーぱみゅぱみゅ」なのだそうです。
一つの事にこだわると言うと何となく聞こえは良いですが、こだわればこだわるだけ、視野は狭くなるのですから、少し他のものを取り入れる余裕があったほうが豊かになれるのかもしれません。