Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

マンガの神様や天才棋士でさえ持った嫉妬心。嫉妬をするというのは遺伝的に正しい生き方。

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数十年前に小説家村上春樹さんの直筆原稿が本人に無断で担当編集者によって古書店やインターネット上に売り払われるという事件が起こりました。

担当編集者の行為からは村上さんの文学作品をまるでモノかのように否定する気持ちが見られ、その背景には本当は小説家になることを夢見ていた担当編集者が自分の作品に対する世間の低い評価に耐えられず、村上さんへの嫉妬心と嫌悪が憎悪になって現れたのではないかと言われています。

このような嫉妬の構造はSNS上に流れる友人の幸せな日常を眺めるだけでふつふつと湧き上がるなど、日常生活のいたるところに溢れており、嫉妬や羨望の気持ちを持たず平常心で過ごすのが難しくなりました。

しかし、人類の祖先であるホモ・サピエンスの登場以来、嫉妬心とは本来人間が進化の過程で生き残るために必要な感情なのだそうです。

男性は血の繋がらない子供を育てるかもしれないという被害を防ぐために女性が他の男性と性的関係を持つことに嫉妬し、女性は自分と子供を養う男性が他の女性を愛してしまうことで自分と子供の生活の保証が危なくなることに嫉妬するなど、人間は嫉妬することで子孫を残し生き続けてきました。

嫉妬をするというのは遺伝的に正しい生き方で、人類のすべてに生得的にプログラムされているため、意志の力で取り払うことはできず、マンガ界の神様と呼ばれた手塚治虫さんでさえ嫉妬に狂い、互いにライバルと認め合っていた友人のマンガ家の福井英一さんが亡くなった時、悲しみよりも、どす黒い心の方が勝ったのだと吐露しています。

「だが、その人の死を悲しもうという心境は、どろどろした暗黒の思惑によって次第にけがされていった。(中略)なんという情けないおれだろう、と、つくづく嫌になった。だが、はっきり言って、これでもう骨身をけずる競争はなくなったのだ、という安堵感を覚えたというのが本音であった。」

天下分け目の戦いとして有名な関ヶ原の戦いは、豊臣秀吉の寵愛をほしいままに受けていた石田三成に対して、加藤清正や福島正則らがとぐろを巻くようにやっかみを抱き、そんな彼らの妬み僻みを徳川家康が巧みに利用したことが直接の原因という説もあり、嫉妬は度を越すと膨大なエネルギーへと変化し、国をも滅ぼしかねません。

棋士の谷川浩司九段は自分より8歳年下の羽生善治三冠が登場してきた時、激しい嫉妬のせいでまったく対局に勝てず、羽生さんにタイトルを一つずつ奪われる悔しさの中、羽生さんの将棋のスタイルを真似するようにもなってしまったといいます。

その後、嫉妬心に心振り乱されなくなったのは、自分が無冠になり羽生さんと比べることがなくなって、ようやく自分のスタイルを取り戻した時だったそうで、どんな天才であっても嫉妬とは死ぬまで一緒に付き合っていくしかないのでしょう。

多くの人は嫉妬心を抱く時に少なからず相手の失敗や没落を望んでおり、そんな醜い感情を抱いていると思われたくないから、自分は嫉妬なんてしていませんという涼しい顔をしています。

しかし、手塚治虫巨匠も谷川浩司九段も「自分は嫉妬した」と白状することで自分より優位な存在を認めており、その姿からは清々しさと人間の器の大きさが感じられ、いっそのこと嫉妬する自分を人前であっけらかんと認めてしまうのが醜さから解放される生き方なのです。

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