ある程度人生経験を積んだ大人たちは何かにつけて「ゆとり世代は」と言いたがる傾向がありますが、興味深いことに、古代エジプトのピラミッドの壁にも「今の若者はダメになった」という言葉が残されており、大人はいつの時代でも若者に対して干渉したがるようです。
例えば、最近の若い人たちには高価なモノを購入したり、より高い社会的地位を得るために頑張って働こうというような向上心はあまり見られず、そういった姿はバブル世代の目には「ヤル気がない」と映ってしまうのかもしれません。
実際、高度経済成長期の若者たちは、猛烈に働き、モノをたくさん消費することで豊かさを手に入れ、当時の日本社会自体も彼らが猛烈に働くことを前提として成長してきたため、現代の若者の欲がない姿勢を批判的に捉えるのも無理はないでしょう。
しかし、バブル経済が崩壊してから日本経済はほとんど成長しなくなり、それから約25年が経過した今、社会は成熟に向かおうとしています。
そのような社会では人を蹴落としてガツガツ消費するよりも、限られた富を分け合うなどして持続可能な社会を作って行く方が良いに決まっていますし、その中心にいるのが今の若者なのです。
実際、現代の若者は消費をあまりしなくなった代わりに、人に喜んでもらいたいということに関しては上の世代の人たちよりも貪欲なようで、ある調査によれば、10代後半の人たちは50代の人の3倍もボランティアへの参加意欲が高いことが分かりました。
さらに興味深いことに、彼らは無償どころか、自分で交通費まで払ってボランティアしに行くことが当たり前であり、その理由は「喜んでいる顔を見たいから」なのだそうです。
恐らく、その動機の背景にあるのは、彼らは日本経済が好調だった時代を一度も経験したことがなく、不況というネガティブな言葉を聞きながら育ち、根本的なところで自信を持てずにいるため「褒められたい」という願望が強いのでしょう。
高度経済成長期の若者は、経済的に豊かになりたいという願望を機動力にして消費社会を作り上げてきましたが、これからの若者は、心を満たすために他人につくす社会を作り上げていくのかもしれません。