トロント大学のリチャード・フロリダ教授が行った調査によれば、年収が高い人ほど筋トレやランニングなど体を激しく動かす運動に取り組む傾向があるのだそうです。
実際、18歳から34歳を対象に行った調査によると、高額所得者(年収750万円以上)は、低所得者(年収300万円以下)に比べて運動量が2倍以上も多い傾向にあることが分かっています。
さらに小説家の村上春樹さんも「運動と仕事の質は比例する」と何かの本の中で述べていましたが、確かに、心肺機能を強化したり筋肉を大きくするという作業は、辛くて苦しい割には結果が現れるまでにそれなりの時間を要するものです。
そのため、運動をする人たちはトレーニングを通して長いスパンで物事を考えるクセを身に着け、それを自分のキャリアに活かしているのではないでしょうか。
そもそも現代人はじっくり時間をかけて何かを成し遂げることが不得意になってしまったせいか、何をしてもすぐに結果を求める傾向にあります。
ところが、生命や身体に関するものは、どうしてもプロセスを省略することができず、例えば、赤ちゃんが産まれるまでにはどうしても10ヶ月という月日が必要で、どんなに急いでも5ヶ月に短縮することはできません。
それと同じように、仕事にしても勉強にしても、それは人間が行っている行為なのですから、多少の効率化はできても、根本的な部分では長期期な思考なしでは何も成し遂げることはできないでしょう。
本屋へ行くと自己啓発本が山積みにされていますが、そんな本を数冊読んだだけで自分を変えるキッカケになるかもしれないと少しでも期待する行為自体、幼稚だと言わざるを得ません。
現在20歳の人であれば、今の「あなた」という人格は20年という歳月をかけて形成されたのですから、本当に自分を変えたいのであれば、これから20年かけて自分を作り直すくらいの気持ちがなければ何も変わらないのではないでしょうか。
現代社会ではお金を出せば大抵の事は解決してしまいますが、本は買えても知識は買えないように、ジム代は払えても忍耐力や長期的思考は買えないでしょうから、まずは動き始めて少しずつ努力を積み上げていく必要があります。
そうやって、熱心にトレーニングに打ち込んでいれば、不安に煽られて「すぐに成果が出る」とか「すぐに儲かる」なんて謳い文句に心惹かれることもなくなるでしょうから。