世界的に有名な社会心理学者のスタンレー・ミルグラムさんによれば、全世界の人々はたった5人を介して繋がっているのだと言います。
実際にこのミルグラムさんの説が正しいのかを検証するために、あるテレビ番組で西アフリカから出発して笑福亭鶴瓶さんに何人でたどり着くかという実験が行われ、結果的に鶴瓶さんにたどり着くまでに13人を介しましたが、それでも地球の裏側から繋がったのですから驚きです。
見ず知らずの人と話していると実はその人と共通の知人がいたというのはよくあることですが、そう考えれば世間は私たちが思っている以上に狭く、この世界では人と人とが密接に繋がっていることがよく分かります。
日本では昔からこうした人と人との縁を重要視する習慣が根付いており、それは面識のない人が自分の人生に与える影響が小さくはない事を理解していたからでしょう。
実際、江戸時代に徳川将軍家の剣術指南役として大きな影響力を持っていた柳生家の家訓にも「才能豊かな人は、わずかな触れ合いでも縁に気づき、その縁を活かしてさらに豊かな人生を歩むことができる」と書かれていたというのは有名な話です。
それにも関わらず、残念ながら現代のようにAをすればBという結果が出るといった理路整然と説明できるものしか信用されない世の中では、この「縁」の力はなかなか理解されないものなのでしょう。
確かに多くの物事はAという原因があってBという結果が出ているように見える一方で、そこに「縁」がなければ結果は伴いません。
これは畑をイメージすれば分かりやすく、例えばタネを畑にまいて果実が収穫できるようになるまでには、水をやったり肥料を撒く必要がありますが、このAとBを繋ぐものこそが「縁」の力なのです。
人との縁というのは不思議なもので、ちょっとした挨拶や気遣いがキッカケで繋がる場合が大半であるため「よし、縁を捕まえよう」と意気込んで掴めるものではありません。
恐らく、人生がうまくいかない人は繋ぎ損ねた縁がたくさんあるからなのでしょうが、今日から少しずつ縁を見つけるたびに少しずつ繋げていけば、いつか花は咲くんじゃないでしょうか。