Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

ガキ使の『笑ってはいけない』シリーズは、楽しくない現代社会に対する最後の反抗。

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「最近あった笑える話をして」と誰かに言われるとちょっと困ってしまうのは、普段の生活の中で楽しいことなどほとんど無く、どちらかと言えば嫌なことやストレスに感じてしまうことの方が圧倒的に多いからではないでしょうか。

4歳の子供が1日に300回から500回も笑うのに対して、大人は1日に10回から15回くらいしか笑わないと言われますが、人は年をとるにつれて笑わなくなり、心のゆとりを失くしてしまうようです。

いつも笑っている人の心はしなやかな竹のように柔軟である一方、普段あまり笑わない人の心はカチカチにこり固まっていて、突風が吹けば簡単にボキッと折れてしまうため、強風が吹き荒れる21世紀の社会では、困難を笑い飛ばせる「しなやかさ」を身につけなければもう立ち回れなくなってしまうでしょう。

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↑4歳の子供は1日に500回も笑うのに、大人は15回しか笑わない

言語、思想、そして文化は国や地域によってバラバラなのにも関わらず、生後4ヶ月くらいの赤ちゃんが笑い始めるという現象は時代や地域差を超えて存在しており、よく赤ちゃんの行動には人間の生存に不可欠な要素が集約されていると言われることから、「笑い」は生きるためにはなくてはならない能力の一つだと言えます。

笑いが生まれた歴史をさかのぼると、人類の先祖は自然環境が目まぐるしく変化する過酷な環境で生活していて、不確定要素の多い野生の世界では、快楽よりも苦痛を感じることの方が圧倒的に多かったため、不安定な感情のバランスを保つために笑いが生み出されたのだそうです。

このように、環境の急激な変化によるストレスを中和するために笑いが生み出されたわけですが、この考え方は現代人の生活にもあてはめることができるのではないでしょうか。

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↑人類の祖先が笑いを発明していなかったら、現代人は存在していなかっただろう

よく考えてみれば、現代人はテクノロジーの力を借りて、より多くの作業をより短時間で済ませるなど、本来、人間が持っている能力を大幅に超えたところで生活しており、そういう意味において、私たちを取り巻く環境はここ数十年で急激に変化しています。

実際、現代人と縄文人とで比較すると、カラダの構造はほとんど変化していないにも関わらず、現代の生活リズムは縄文時代の30倍も早くなっており、ある意味、私たちはカラダを社会のペースに無理やり合わせながら生活しているのです。

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↑現代人は縄文人が1ヶ月かかっていた仕事を1日でこなしてしまうけれど、そんなに急いでどうするのか

ある調査によれば、満員電車で通勤するサラリーマンの精神的ダメージは戦闘機のパイロット以上なのだそうです。そのような強いストレスを受けると、体を守ろうとして全身が戦闘モードに入り、その過程でストレス物質であるコルチゾールが大量に分泌されますが、それは体にとってヘビの毒以上の猛毒なのだそうで、それが血液とともに身体中を巡るわけですから、当然、様々な病気を引き起こします。

ただ、興味深いことに、その猛毒を分解するエンドレフィンと呼ばれる快感物質が笑うことで脳内に分泌され、身体中の毒物を中和してオシッコとして排出させる効果があることが分かってきました。

実際、満員電車でのストレスを再現するために、互いに面識のない10人の男女を身動きの取れない狭い場所にギュウギュウに押し込み、20分が経ったところで、5人はイスで休憩してもらい、残りの5人にはお笑いライブを見てもらったところ、笑ったグループのほうがストレス物質の減少率が3割も多かったそうです。

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↑満員電車で受けるストレスは戦場以上だけど、笑うことでそのストレスを相殺できる

また、笑うことがストレスを軽減するのは呼吸びも関係しているようで、一般的に、人は笑うときに息を約5秒吐いて3秒吸うことが分かっており、「ハハハッ」と笑うだけで、酸素の取り込み量が通常呼吸の3.4倍、深呼吸と比較しても約2倍になるため、言ってみれば、笑うという行為は大きな深呼吸を何度も行っていることと同じだと言えます。

そして、取り込まれた酸素で興奮状態になった脳が酸素を大量に消費することで、体が一時的に軽い酸欠状態になって心拍数が急上昇しますが、その後、上がった血圧が自然に下がるのと同時に、筋肉の緊張もほぐれることでリラックス効果を生むのです。

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↑大笑いは深呼吸の何倍もストレスを緩和する効果がある

古代に生きていた人類が生存率を上げるために笑いを作り出したように、笑いにはストレスを軽減するだけでなく、命をつなぐ役割も担うようです。

ナチスによる1938年のドイツのオーストリア併合で、ユダヤ人差別を受けて強制収容所に拘禁されていたオーストリアの著名な精神科医、ヴィクトール・フランクル氏は大ベストセラーとなった自身の著書『夜と霧』の中で笑いやユーモアの重要性を説いています。

フランクル氏は、いつ殺されてもおかしくない収容所の極限生活の中で「1日1回笑おう、笑い話を作ってくれ」と周囲に提案して実行してきたのだそうで、中にはとても笑える状況ではないと言って提案を拒否する人たちもいましたが、最終的に、生きて収容所を出ることができたのは最後まで笑いを絶やさなかった人だったそうです。

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↑死の淵に立たされた人にとって、笑うか笑わないかが生死を決めてしまう

頑丈なカラダの人たちよりも、心の柔軟性を持った人のほうが収容所生活によりよく耐えていたことから分かるように、生きるか死ぬかの窮地に追い込まれた人にとって、笑いは最後の心の拠り所になることは間違いありません。

現代の日本では、生きづらさから精神疾患を患うなどして、医療機関に通院している人が320万人もいると言われていますが、いつ殺されるか分からないナチスの収容所の人たちが笑えたのですから、日本人が日々の生活の中で笑えないことはないはずです。

面白いことに、新聞のテレビ欄を見てみれば、ゴールデンタイムは人気のお笑い芸人が出演するバラエティ番組ばかりで埋め尽くされていますし、最近のテレビ番組を見ていると、歌手やアイドルでも奇抜な格好をするなどして番組内で笑いを取れなければ、テレビ業界で生き残れないという状況は、まさに現代社会が笑いを求めている現れのように見えてなりません。

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↑どのチャンネルもバラエティ番組だらけ、みんな笑いたくて仕方がないに違いない

しかし、日本では何となく笑いが社会的に受け入れられにくい雰囲気があることは周知の事実でしょう。

その背景には武家社会の影響があるようで、「武士は三年に片頬」という言葉があるように、武士が公の場で冗談を言ったり、笑うことは恥だという考え方が浸透しており、身分、階級、出身、そして年功序列が絶対的だった日本社会では笑いは歓迎されるどころか、攻撃の対象とされてきたのです。

実際、落語界の重鎮として有名な桂文珍さんが若い頃に落語家になることを両親に伝えたところ、「なぜそんな低俗な職に就くのだ」と勘当されそうになったという話があるくらいですから、最近になってお笑い芸人が社会的に認められてきているとは言え、日本で笑いはなかなか社会に受け入れてもらえないことが分かります。

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↑人前でゲラゲラ笑うことは悪いことだという雰囲気を昔からなんとなく感じていた

そのせいか、現代社会を見渡してみると、誰からも批判されないように賢く世渡りする人ばかりが増えていると感じずにはいられません。

最近では一般の人のちょっとした言動がツイッターなどで炎上して話題になることは珍しくなく、ちょっと食べ物を粗末にしたり、ほんの少しのおふざけでも、皆で寄ってたかって攻撃するなど、世の中があまりにも行儀良くなりすぎているのではないでしょうか。

空気を乱さず真面目であることこそが正しいという価値観を全面に押し出して、世の中が真面目な人で溢れかえってしまえば、社会はどうしても生きづらくなってしまうことは言うまでもないでしょう。

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↑今さっきリツイートしたその炎上ネタは、そんなに騒ぎ立てるような問題だったのだろうか

『ガキの使い』のプロデューサーとして有名な菅賢治さんは、社会がこんなにも生きにくくなってしまったのは、ふざけることがタブーになってしまったからだと言い、『笑ってはいけない』シリーズを大晦日で放送しようと提案したのは、今の世の中には楽しいことがあまりなくて、一年の最後くらい大笑いして終わってほしいという気持ちがあったからだとして、次のように述べています。

「何か生活の役に立とうなんてこれっぽっちも思ってませんし、逆に何の役にも立たないから面白いんですよ。」

「本当に笑えることって、子供の頃、母親に『そんなことしちゃダメでしょ!』と怒られたようなことでしょう。」

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↑別にカウントダウンなんてしなくても、「大笑いしてたら年が明けてた」で良いじゃないか

いまの世の中では合理性や効率を追い求める真面目で賢い人間が優れているとされていて、確かに、彼らは正解を導き出すための知識やデータがあれば活躍できるのかもしれませんが、正解がないスケールの大きな問題にぶつかったときには案外、何も出来ないことのほうが多いのです。

『ガキの使い』の菅さんによれば、最近のテレビ業界には一流大学を卒業したエリートが入ってくるようになって、彼らは素直に言うことを聞くし、ちゃんとお勉強もできるけれど、面白いものを作らせるとサッパリなのだと言います。

一方で、菅さんやヘイポーがテレビ局に入社した当時は今とは違って、「楽で、金が稼げて、おまけにアイドルと結婚できるかもしれない」と言ってヘラヘラしているような人ばかりだったそうですが、蓋を開けてみれば、お茶の間の笑いを作り出しているのは案外そういった人たちだったわけですし、そういう人たちのほうが楽しい生き方を心得ていることは言うまでもないでしょう。

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↑どう考えても、スーツにネクタイの人から面白い発想が出るとは思えない

楽天家として知られている関根勤さんの人生相談に29歳の男性がこんな質問をしていました。

「もうすぐ30歳になりますが、僕が子供の頃に想像していた30歳はもっとオトナで、奥さんと子供がいて・・・でも、今の僕はまだ独身で、いまだに漫画ばっかり読んでて、中身は中学生のままです。いつになったらオトナになるんでしょうか?」

この質問に対して、関根さんはこんなふうに答えます。

「『いつまでもオトナにはなりません!』僕はなんだかんだで来年で還暦ですが、中身は中学生のまんまです。仮面をかぶればいいんじゃないかな。係長なら係長の仮面を、父親なら父親の仮面を。要するに、その立場に応じて仮面を替えてればいい。」

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↑無理してオトナになる必要なんてない、イザとなったら仮面をかぶれば良いだけのこと

吉本興業のお笑い芸人は、テレビでは思いっきりふざけて笑いを取りに行くのに、普段の生活での挨拶や礼儀は異常なほどきちんとしているという話は有名ですが、そんなふうに、大切な場面だけ引き締めていれば、あとの部分は多少ふざけてゲラゲラ笑っていても良いのではないでしょうか。

ストレスとウンチは似ていて、生きていくためには食べる必要があり、必ずウンチを出さなくてはならないのと同様、現代社会で生きていく上でストレスは必ずついてくるため、ストレスから解放されたいという考え方は捨てて、ストレスの便秘にならないよう、毎日、笑って全部出してしまえば良いのです。

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