Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

足は第二の心臓で、すべての健康は足から。自分に合ったサイズの靴を履くだけで、生活はここまで変わる。

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動物にとって自分の足で動くことができなくなることが死と直結するというように、足が大事であることはまぎれもない事実ですが、私たちは自分の足の「健康」について深く考えずに生活しています。

実際のところ、体重60キロの人が6000歩を歩くという平均的な大人の足は、一日に350トンの衝撃を受けながら、歩くことによって心臓から一番遠いところにある血を重力に逆らって心臓に戻す「第二の心臓」としての役目もしており、私たちの足の健康状態が全身の健康を左右するのです。

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↑歩けないということは死ぬということにものすごく近い

しかしながら、1時間も歩いていないのに「お茶したい」「座りたい」とこぼすほど、長く歩き続けることができない人は少なくありません。

機械で靴をつくっている現代では、靴屋はより細かくサイズを揃えるよりも、70パーセントのコアサイズを大量に製造する方が効率がいいため、例えば女性の靴では、全体の78パーセントを占めているという足の幅「D、E、EE」以外の足に合う靴をつくっているメーカーはほとんどないそうです。

すなわち足に合う靴に出会えない女性が5人に1人いるということになり、彼女たちは歩くときにきちんと筋肉が使えていなかったり、骨が変形してしまっているような足の状態を抱えながら歩くしかなくなっています。

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↑女性の5人に1人が既製品の中に自分に合う靴を見つけることができない

日本でも“一生ものの靴”として名高いフェラガモの創立者で靴職人だったサルヴァトーレ・フェラガモは、歩くことは食べることや呼吸をすることと並ぶ健康の三大要素であり、「長く歩いた後は気持ちが良くなければいけない」と言いました。

60歳を過ぎた体重120キロの女性にも、フェラガモは足に合った靴をつくり、歩けるようになったその女性は、歩くことで減った体重が70キロを超えることはなく、80歳を迎えて亡くなるまで歩けなくなることもなかったそうです。

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↑フェラガモの靴を履くようになって妻が別人になったと驚く男性が何人もいた

イタリアで手製の靴をつくってきたフェラガモが、靴の機械製造が進んだ1920年頃のアメリカで目にした人々の足は酷いありさまで、フェラガモが店を出していたサンタバーバラという町では、完璧に健康な状態の足の人は1000人に1人くらいだったといいます。

機械製の靴は、誰の足にでも合うようにと伸縮性のある生地や中敷が使われていますが、何百キロ、あるいは何千キロという重さの圧力に耐えて加工される靴は、事実上、鋼と同じような工程を経て作られているのです。そんな靴を履いていたら人間の足は靴の形に変形するしかなく、靴を「履きならす」ことは不可能だとして、フェラガモは次のように断言しました。

新しい靴は、履いて10秒後も10週間たっても10ヶ月しても快適であるべきものなのだ。店を出る時点でフィットしていない靴は、その後も絶対フィットしない。決して、金輪際フィットしない。

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↑マイケル・ジョーダン「よりよい自分になるためのシューズが、互いを傷つけることになるなんて思わなかった。」

石油エネルギーによって工業製品の生産能力が急激に上がった1930年代、アメリカの靴工場ではわずか14パーセントの稼働率で、1年分の市場のニーズを満たせるまでになっていたそうです。

日本でも1950年代には手づくりの革靴の時代が終わりに近づき、1963年のオリンピックを境に、靴業界は一気に機械化を成し遂げ、あっという間に有り余るほどの靴がつくられていきます。

市場が成熟していく中、靴メーカーは学生や若者が憧れるような「誰か」に靴を履かせて消費者を別メーカーから鞍替えさせることに躍起になり、1980年代半ばになると、ナイキがNBAの選手にナイキの靴を履いてもらうために、一人の選手あたり最高で年間10万ドル(約1100万円)を支払うといった戦略も、靴業界では珍しくなくなりました。

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↑市場が成熟すると、靴を履かせるスターの奪い合いが始まる

俳優の佐藤隆太さんも、中学の時にホームステイに行ったアメリカでエアジョーダンⅦを手に入れたものの、「帰国してウキウキで塾に履いていったら、帰りに下駄箱になかった」といいます。

80年代から90年代に見られた強盗や殺人事件について、NBAのマイケル・ジョーダンは「目標を達成したり、よりよい自分になるためのシューズが、互いを傷つけることになるとは思わなかった」と語りました。

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↑ナイキの店では、27センチの在庫がなければ29センチでも買うという客も出てきた

アメリカの市場調査会社によると、スポーツシューズを購入する人の半数以上が、「普段用の靴」として買うのだそうです。

しかし、整形外科医の塩ノ谷香さんは、バスケットボール用のシューズをバスケットボールをするために履いていないのは問題だとして、次のように述べました。

バスケット用の靴は、高くジャンプをし、走り込んでいってストップ、ターンを瞬時に行う、という目的のために機能を特化させてあり、通常の歩行や走行のために作られた靴ではないのです。バスケットシューズはバスケットをするための靴であり、普段の歩行に用いるものではありません。

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↑スポーツシューズは、ストリートではなくアスリートのための靴

その時々のトレンドや商品レビューを基準に靴を選ぶことが多い日本とは対照的に、ドイツでは健康診断に足の健康測定も入っていて、小さい頃から自分の足にあった靴を履くことの大切さを教え込まれるといいます。

そんなドイツの子どもたちはしっかりとした皮のひも靴を履いていて、子供靴の店には遊具の設備などもあり、靴のフィッティングを待つ時間も子どもが過ごしやすいように考えられているのだそうです。

ドイツのあるシューズメーカーでは子供の靴一つ作るのに80〜120くらいの工程があるというのに、日本のメーカーの場合は多くても30と言いますし、ドイツと日本では靴に対する意識の高さに3倍も4倍も差がついているように感じられます。

日本マクドナルドの創業者、藤田田が「人間は12歳までに食べてきたものを一生食べ続ける」と言ったことは有名ですが、日本人は子どもの頃から大量生産の靴しか知らないことで、大人になっても足の健康をないがしろにすることが平気になっているのかもしれません。

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↑“足”をみると“将来”が見える。毎日歯を磨くように足の健康もチェックする

1万人を超える子どもの足をみてきたという、からだ環境総研株式会社の柴田英俊さんによると、足が速く、集中力も抜群という子どもたちの足は土踏まずがくっきりとしていて、一日約3万歩ほど歩いているといいます。

昨今、幼稚園児に足の裏に絵の具をつけて足型をとってみると、足の5本の指がきれいにうつらないことが増えており、足の指が浮いてしまっていることを柴田さんは「少しオーバーな言い方をすると、足の小指が退化し始めているのです」と言いました。

子どもがふくらはぎや膝の痛みを訴えると、整形外科医に「成長痛ですね」と言われてしまいがちですが、その痛みは、土踏まずがきちんと形成されずに扁平足になってしまったことが原因だというケースも少なくないそうです。

幼稚園や学校で指定されている靴によって足が変形してしまう子どももいるというのに、靴のサイズを大きくしてみたり、かかとを踏んでやり過ごすなどしてしまうのが普通であり、日本の社会では足の健康に対する諦めにも似た感覚が蔓延しています。

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↑凹凸の地面を歩かなかったり、間違った歩き方をしていることが足に全て反映される

“自分の足に合う靴”といっても、オリジナルの型からつくるフルオーダーの靴が必要な人は1000人に1人くらいなものであり、既存の型からつくるパターンオーダーという方法で、多くの人が自分の足に合う靴をつくってもらうことが可能で、この種であれば紳士靴でも4〜6万円くらいで手に入るそうです。

靴を買うときに既製品以外の選択肢が思いつかないのだとしても、ある調査では、首都圏ビジネスマンが最もこだわりを持つモノの1位はスーツ、2位は腕時計、そして3位はカバンだったといいますし、パッと見でその価値がわかりにくく、汚れやすい靴に関しては「手入れをして長く履くよりも、手頃な靴を履きつぶして買い換える方がいい」と多くの人が考えてしまっているのではないでしょうか。

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↑痛みや疲れをためずに健康でいられる靴にこそこだわるべき

「足はその人がはいている靴に似ている」と言ったサルヴァトーレ・フェラガモは、自伝の中で読者に向かって次のように問いかけていました。

足というものは、我々の日常生活でそれほど大事にするものではない。どんな天気でもどんな場所でも何時間も付き合わせるのに、その足の半分も使わない歯の方を大事にしている。紳士淑女の皆さん、歯は一日に二回磨き、その上子供にもそうするように言っているでしょう。同じように、子供の足の状態を注意して見たことがどれくらいあるだろう。自分の足を手に取って、チェックしたことがどれほどあるだろう。
足を気遣わず、適当な靴を毎日繰り返し潰れるまで履くというのは、自分自身を大事にしていないことの表れともとれるのでしょう。

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↑靴にはその人となりが表れてしまう

私たちが生きるために欠かせない「食べること」と、「歩くこと」はどこか似ていて、体から脳に送られる刺激の中で一番大きいものが足の大腿筋、その次が噛むときに使う咬筋になっており、京都大学名誉教授の大島清氏は、食べることも歩くことも、すればするほど脳を活性化させる“快感運動”なのだと言いました。

スティーブ・ジョブズは歩きながら会議をしていたそうですし、また京都に哲学の道があるように、東京大学大学院で教授を務める哲学者の野矢茂樹氏も、一時間歩いても問い対する答えが見えてこなかったら準備不足と判断して、もう一度本を読んだり人と議論したりするという習慣を持っているそうです。

「歩くこと」は脳の働きにとっても重要なのは間違いありませんが、それを支えている足は、地面と接しているタバコの箱1個程度の面積でバランスをとっているため、足にフィットしない靴を履けば、ダイレクトに頭の働き方に悪影響を及ぼしてしまうでしょう。

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↑食べることと歩くことは似ている。食べものにこだわるように、靴にもこだわる

「足は人間工学の最高傑作であり、また最高の芸術作品である」というレオナルド・ダヴィンチの言葉のとおり、人間の両足首から下の骨の数は体全体の骨の4分の1を占めるほど多く、650種あるという体の筋肉のうちの3分の2が腰から下に付いているというほど、足の動きは精巧なつくりに支えられています。

よくお年寄りが「長生きするには、転ばないことが大事」というように、自然がつくりだしたこの足は、替えの効かない代物なのです。

移動手段として車に100万200万をかけるのならば、人生を共にいく無二の相棒として、もっと大切な「足」という移動手段に投資をする方が、歩けば歩くほど気持ちがいい日々を積み重ねた結果として、大きなリターンがあることは間違いないでしょう。

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