Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

みんなが爆弾を作らないで、きれいな花火ばかり作っていたら、きっとに戦争なんて起きなかった。

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東日本大震災で被災した町では、2割の人が幽霊を見ていると言われています。

ある道路は、実際には事故を起こしていないのにもかかわらず、「人にぶつかった気がする」という運転者からの通報が多すぎて通行止めになったそうです。

「私が見えたのはみんな知っている人達だったので絶対に怖くない」と語ったある女性は、「“心霊”ではなく“親しい霊=親霊”」だから今後も出てきてくれたら嬉しいと言いました。

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↑いつもの待ち合わせ場所で、家の縁側で、夢の中で。人々は再会を重ねる

震災と死者・魂をテーマに研究をしている東北学院大学の金菱清(かねびし きよし)教授のゼミの学生が、被災地のタクシードライバーに心霊体験についてインタビューしたところ、「“幽霊”なんて蔑むように言うんじゃない」と怒鳴られたり、中には次のように言ってほほえんだドライバーもいたそうです。

今はもう恐怖心なんてものはないね。また同じように季節外れの冬服を着た人がタクシーを待っていることがあっても乗せるし、普通のお客さんと同じ扱いをするよ。

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↑盆踊りはあの世から死者がやってきて、生きている人といっしょになって踊る霊踊り「俺が死んだら、おまえ一緒に踊ってくれ。」

被災地の人々の間では、地元の祭りの中で「亡くなった人たちと交流する」という気持ちも高まっていて、宮城県の松島では、以前はすっかり観光イベント化していた花火大会が、町民が主体となった盆踊りメインの夏祭りへと生まれ変わりました。

被災地の盆踊りを写した報道写真の中には、亡くなった人の写真を抱いて踊っている人の姿もあったそうです。

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↑観光客を呼ぶよりも、亡くした大事な人を呼ぶことができる祭り

人類学者の中沢新一さんは、東北地方に伝わる盆踊りは、「あの世から死者がやってきて、生きている人といっしょになって踊るお祭り」という古くからの踊りのかたちを留めていて、「どこの盆踊りよりも異様な感じがする」と言いました。

東北のような感覚を残した祭りは多くないのかもしれませんが、今や錦糸町の盆踊りでも使われているほど全国的なダンスミュージックとしてポピュラーになった大阪の河内音頭も、終戦直後は現在のかたちと全く異なる真の“亡者踊り”だったといいます。

踊り子は決して顔を見せず、場所もほとんど墓場でおこなわれており、その当時の様子を河内音頭家の三音家浅丸さんは、次のように語りました。

戦争、戦争で、暗い毎日を送ったあと、とたんに河内音頭が流行った。今の感じとはまったく違います。幽霊が踊ってる。まったく幽霊をかたどった踊りです。

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↑祭りでは幽霊が踊っている

花火も本来、別れを惜しんで先祖たちを送る、送り火の意味を持っており、日本三大花火大会の一つである長岡の花火では、最初に、長岡大空襲で亡くなった1484人を想い、「白菊」という名の鎮魂の花火が打ち上げられます。

この「白菊」は、長岡の花火を50年以上に渡って取りしきっていた花火師、嘉瀬誠次さんが、戦時中に自分が捕虜として拘留されていたシベリアで、次々と命を落としていった人々のために、仏壇に手向ける真っ白い菊のような花火をつくり、シベリアまで上げに行ったのが始まりでした。

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↑亡くなった人の想いを空に打ち上げる

終戦から45年目の夏、シベリアで「白菊」を上げているとき、嘉瀬さんは次のように思っていたそうです。

実際には目に見えないけども、このシベリアのどこかにいる戦友のことを思い出して、「中村君、花火見てるか・・・小林君、花火見てるか・・・」 って心の中で言ってたがら。

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↑東北大震災の後も、「フェニックス」という名の花火が生まれ、宮城県の石巻で打ち上げられた

巨大団地や郊外の新興住宅街などの伝統を持たない場所での祭りでは亡き人を想うこともなくなりつつあり、そういった“祭り”は、屋台や花火というモノを目当てに人々が集まる娯楽で、観光イベントを指すことも多いのでしょう。

けれど、被災した宮城県のある村では、人々が何キロメートルにもわたる瓦礫の中から鹿踊り(ししおどり)の衣装や太鼓を探し出して避難所で踊り、それを見た人たちが涙したといいます。

そういった鎮魂・供養の祭りが、被災地のあちこちで復活していることは間違いありません。

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↑子供に祭りを体験させない地域は自然と衰退する

日本では、伝染病や災害などが現れるたびに必ず新しい祭りが産み出され、そのため単純計算でも、400人の町内ごとに祭りがあることになるほど、日本全国にはおびただしい数の祭りが存在しています。

一方、お隣の中国を見てみれば、そもそも地域単位の祭りは許されておらず、それは日頃、政府に対してうっぷんを抱える民衆が祭りによって盛り上がり、騒動を起こして、革命騒ぎに発展するかもしれないと考えられているからなのだといいます。

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↑日本の祭りは単なる「騒ぎ」ではなく、見えない存在と心を通わせるもの

かつて民俗学者の柳田國男氏は東京大学で、民族の伝承を徐々に忘れつつある学生に向けて、「日本の祭り」という講義を行いました。

その講義を聞いていたのは私たちの祖父母、あるいはそれより前の世代でしょうが、柳田氏は彼らに向かって、君たちは中学校から大学を卒業する時まで、明けても暮れても学校の生活しかしていない。けれど、親から子へ、祖父母から孫へ、地元の年長者から若い者へと古来日本から伝わることを受け継ぎ覚えるということも、その10年余りにかかっていたのだ、と語りかけます。

そして、その伝承を知らないでいることを「大きな無学」と言いました。

昔の社会における祭りとは、脳の障害などによって知ることができない人を除き、誰も知らずに通り過ぎることなどできないものだったのです。

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↑学歴社会の隣には、大きな「無学」が横たわっている

太平洋戦争以前はあちこちに、7〜15歳くらいの子どもたちが地域の祭事のいっさいを取り仕切る「子ども組」という場がありました。

祭りには、大人よりも神に近い存在である未成年の時代にしか果たせない役割があり、地域全体の栄衰を左右するとも考えられるような祭りの大切な任務を果たすのを、子どもたちは誇りにしていたといいます。

「子ども組」は祭りになると神に扮し、太鼓のリズムに合わせて町の家々を回って、「悪魔っぱらい」「福の神が舞い込みました」などと叫び、歌って、無病息災を祈り、お盆のときには火を焚いて亡者を供養して送る役目などもしていたそうです。

祭りのために毎晩公民館に集まり、年長の子を中心に猛特訓をしていた当時の子どもたちは、何か見えないものとともに生きていることを自然と知るようになっていったのでしょう。

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↑子供にしっかりと祭りを体験させるのは、地域の重要な役割である

塾やゲームに忙しい今の子どもたちを、「神に近い存在」と言ってもピンと来ないかもしれませんが、アメリカの心理学者ジュリアン・ジェインズによると、およそ三千年前までの人間の脳は、「神の側」である右脳と、「人の側」である左脳に分かれていたのだそうです。

「神の側」は幻視や幻聴によって何をすべきかを告げ、「人の側」がその声に従って行動していたのですが、言語が登場すると、幻聴などの神の力がどんどん弱まっていきました。

神からの命令を忘れた人々によって、大陸のあちこちで文明が栄え、自然破壊が進んでいく中、日本の人々は狩猟採集という原始的な縄文時代を1万3千年の長きに渡って続けており、それは結果的に、現世では説明のつかない観念をこの地に深く根付せることになったのかもしれません。

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↑右脳には神が宿り、左脳には人が宿る

“文明”社会ではなかった縄文の人々は、くり抜かれた穴や渦巻き模様が目のように見える土器、ハート型やみみずくの顔をした土偶など、どこか不気味な世界観があるものをたくさん作り出しました。

岡本太郎はこれらを“四次元との対話”と題して、次のような感想とともに紹介しています。

からだじゅうがひっかきまわされるような気がしました。やがてなんともいえない快感が血管の中をかけめぐり、モリモリ力があふれ、吹きおこるのを覚えたのです。

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↑みんなが爆弾をつくるのをやめて、花火をつくったら戦争なんてすぐ無くなるだろう

縄文時代の中期になると人々は、村の中央に墓を作って死者を中心に感じながら暮らしており、祭壇を設けていた住居は単なる「家」ではなく「聖なる空間」だったのだそうです。

そして時は流れて神道が生まれますが、縄文の“四次元”はこの中にも現れていて、古神道ではわたしたちの霊魂は、勇気、親しみ、愛、そして智恵という4つの魂と、あの世とこの世を結ぶ霊とでできていると考えられています。

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↑神輿は激しく揺らすほど、神は喜ぶという

ところ変わって文明の栄えた場所、たとえば現在イラクのあるところは、昔から今のような砂漠だったのではなく、うっそうとした森がありました。

日本が縄文時代だったころ、その地に暮らしていたシュメール人は森の木々を次々と切り倒し、大きな船を作って戦争や貿易をする、あるいは牧草地とするなどして文明を高度に発展させたのですが、自然の破壊が進む中で文明は滅びていったのだそうです。

そして現代になり、イラクがアメリカとの戦争で敗戦国となると、アメリカはイラクに日本を占領したのと同じことを再現しようとしたものの、うまくいきませんでした。その一つの要因はイラクの人々の精神と日本人の精神が違いすぎたからだともいわれています。

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↑文明から離れたことで救われ、文明的なもので滅びる

日本のゴッホと呼ばれた山下清は、「みんなが爆弾なんかつくらないで、きれいな花火ばかりつくっていたら、きっと戦争なんて起きなかったんだな」と言っていたそうです。

同じ火薬なら、それで武器を作ろうというより、それを天に掲げることに喜びを見出すほうでありたいというのは、日本人ならではの強さなのかもしれません。

「ぼくがいま20歳くらいでプログラミングができたら、縄文というOSをつくりたいですね」と音楽家の坂本龍一さんは言いました。

できれば平和に楽しく暮らしていきたいですが、避けることができない苦しいことが訪れても、“四次元”の思考ベースがあることで私たちは救われる気がします。

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