Good Life Journal

日常生活における「疑問?」を「確信!」へ

1時間座るごとに寿命は2時間も縮む「でも、1日15分の運動で寿命を3年分は取り返せる。」

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体に悪いモノの代名詞といえばタバコで、タバコを1本吸うと寿命が11分縮むといった話は誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。

しかし、世界で最も権威のある医学誌の一つとして知られる『ランセット』で発表された研究によると、喫煙よりもデスクワークなどで一日中イスに座りっぱなしでいることの方がよっぽど体に悪く、運動不足で死亡する人の方が喫煙で死亡する人よりも多いことが分かってきました。

普段の生活を振り返ってみると、私たちは通勤電車の座席、オフィスのイス、そして帰宅してからもソファーに腰かけるなどして1日に平均13時間も座って過ごしていますが、残念なことに、座ったままで1時間過ごすごとに寿命は2時間も縮んでしまうのです。

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↑私たちの1日はイスからイスへと移動するだけの生活と言っても過言ではない

WHO(世界保健機関)は、ガン、脳卒中、心筋梗塞、そして免疫機能不全などが座りっぱなしが原因で引き起こされると発表しており、運動不足で死亡する人の割合が先進国を中心に増加傾向にあることから、座りっぱなしが世界の死因トップ10入りする日はそう遠くないと警告しています。

実際、座りっぱなしの人が大半を占めている現代社会は「人が動かないこと」を前提として作られるため、新たに開発される住宅地には車道を広くするために歩道が作られず、ショッピングセンターや空港に関しても、動く歩道がいたるところに設置されているように、運動不足の人がこれからも増え続けていくことは間違いないでしょう。

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↑電車の座席から、会社のイスに移動する間でさえ動きたくない現代人

また、ワンクリックで自宅に商品が届く現代では、商品やサービスを効率的かつ安価に提供するために、信じられないほど遠くからモノを運ぶことが当たり前になっており、1日の生活を支えるために必要なモノの輸送距離は合計で地球120周分にも上るのだそうで、そんな時代に生きる私たちは家から一歩も出ずに生活することだって可能になりました。

ただ、人類100万年の歴史を振り返れば、運動しなくても生活できるようになったのは交通機関が成熟し、街中にエスカレーターが設置されたこの20〜30年の間の出来事であって、江戸時代の飛脚ですら1日100キロを毎日走っていたと言うのですから、使わない自転車のチェーンが錆びてしまうように、私たちの体も当然、使わなければ錆びついてしまいます。

4大生活習慣病であるガン、糖尿病、心臓病、そして肺病は運動さえしていれば基本的に予防可能な病気であるにも関わらず、先進国に住む人の10人中9人がこれらの病気で命を落としており、そう考えると、現代人は利便性と引き換えに健康を損なうという矛盾した生活を送っていると言わざるを得ないでしょう。

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↑日用品の総輸送距離は1日あたり地球120周分。言い換えれば、本来は人間が地球120周分を動くべきだったということ

もともと、人類の祖先は弓や槍を発明する何十万年も前は、獲物をどこまでも追いかけて、獲物が熱中症になって倒れたところを捕まえるという、文字通り「走り殺す」狩りの手法を採用していました。

ちょっと信じられないような話ですが、馬と人間が競争したら1キロでは人間は絶対に勝てませんが、100キロの勝負ともなると人間が勝つ確率は50パーセントにもなるのだそうです。

どういう事かと言うと、人間は汗をかくことによって体に溜まった熱を外に出すことができるのに対して、全身が毛で覆われた人間以外の動物は汗をかくことができないため、40キロも走り続けるとオーバーヒートして倒れてしまうようで、そう考えると人間が体毛をなくして「汗をかく」という能力を身に着けたことは、長距離を走るための進化といえます。

しかし、それは裏を返せば、1日中座りっぱなしで汗をかかない生活を送っている私たちは、人間として退化の道を進んでいると言えるのではないでしょうか。

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↑もし人類が汗をかけなかったら、とっくの昔に絶滅していただろう

さらに、人間の筋肉の構造を見てみると、人間は長距離を走れるから自然界の覇者になれたのではなく、カラダの構造上、どうしても走り続けなければならない理由があったようなのです。

動物には基本的に、赤筋と呼ばれる酸素を大量に必要とする筋肉と、白筋と呼ばれる酸素を必要としない筋肉の両方が備わっていて、その動物によって赤筋と白筋の発達具合が違います。

普段ジッとしているトラやヒョウなどは白筋が発達しているため、酸素をカラダに取り込まなくても約1分間、ものすごい早さで獲物を追いかけることができ、魚に関してもヒラメは白筋が発達しているので、小魚を見つけると瞬時に襲いかかることができるのです。

一方で、赤筋が発達しているマグロは生まれてから死ぬまで常に泳ぎ続けるという特徴があり、それは泳ぐのを止めてしまうとカラダに酸素を取り込めず、全身に血液を送れなくなって死んでしまうからで、マグロと同じように、赤筋が発達している人間も動くことを止めてしまうと病気になってしまうと分かってきました。

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↑人間が生きるということは自転車操業のようなもの、足を止めたら倒れてしまう

人間のカラダが朝から晩まで動きっぱなしであることを前提に作られていると言うのは体を見れば一目瞭然です。

人間のカラダというのは本当に精密にできていて、人の足の大きさはせいぜい縦30センチ、横10センチ程度の大きさしかないのにも関わらず、その上に数十キロ、時に100キロ近い重さの体を乗せて支えることができます。

ホンダの二足歩行ロボット『ASIMO』がたった三段の階段を昇り降りする動作を成功させただけで、ロボット業界では歴史的な瞬間だと騒がれましたが、人間のカラダはこんなに不安定な作りをしているのに、歩くことや走ること、そして急に止まって方向転換をすることも難なくでき、これは全身の筋肉がものすごく複雑に機能している証拠だと言えるでしょう。

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↑日本は座りっぱなし人口が世界一「イスに座った時にカラダにかかる負担は立っている時の1.5倍」

二本足で体を支えるためには筋肉や関節の角度をうまく調節しないと簡単にバランスを崩してしまうので、これらの器官をコントロールする脳はものすごく体力を消耗し、その結果、イスを見つけると無意識のうちに座って脳を休めようとするのです。

残念ながら、世界でもっとも座っている時間が長いのは日本人であり、なんと日本人の65パーセントが一日中座りっぱなしの生活をしていることが最近の調査で明らかになりましたが、世界平均が41パーセントであることを考えると、その割合はあまりにも高すぎます。

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↑空席があると無意識に座ろうとするはカラダの疲労ではなく、脳がサボろうとしているだけ

日本人に座りっぱなしの傾向が強いのは、もしかしたら、日本人が同じところに定住する農耕民族だったことが関係しているのかもしれません。

よく考えてみれば、日本では同じ場所にずっしりと腰を構えることを好み、コロコロと変化してしまうことを嫌うことから、日本では重鎮とか重役など「重い」ことが良しとされ、逆に軽薄とか軽蔑など「軽い」ことは低く評価されきました。

対照的に移動社会の欧米では、重いことは悪く、軽いほうがフットワークが良いため高く評価されます。

さらに、アメリカ人が長さを測るときの単位はフィート(足)なのに対して、日本では昔は尺(手のひらの長さ)を使っていましたし、踊りに関しても、欧米ではステップや脚を高く上げて表現するのに対して、日本の能や狂言は、すり足で足の動きを隠して手で表現することからも、日本人はあまり動かない民族だと言えるでしょう。

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↑日本人は農作業、距離の計測、そして踊りまで全て手を使ってきた民族

しかし、世界で最も権威のある科学誌『ネイチャー』によれば、そもそも人間のカラダは長距離を走ることを想定した構造になっているため、座るという行為自体が人間にとっては不自然なのだそうで、座っている時に骨や筋肉にかかる負担は、立っている時の約1.5倍だという調査結果も報告されています。

一般的に人の頭の重さは体重のおよそ10パーセント前後だと言われており、体重が50キロの人だと頭の重さは約5キロで、それは言い換えれば、ボーリング玉と同じくらい重たいものが体の一番上にあるということです。

それなのに、イスに座ってパソコンやスマートフォンを使うと、首の角度が60度に傾くため、首にかかる負担は約27キロにもなり、首を中心にカラダが傾き始めます。

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↑人間の脳は35歳を過ぎると年に1〜2パーセントずつ海馬の面積が減っていくが、年収の5パーセントを投資して、週3回運動すればそれは起こらない

私たちの背骨は正常な状態だと、ゆるやかなS字カーブを描いており、そのカーブが体にかかる負担を分散して、体を支える役割をしているにも関わらず、イスに座った状態で頭を支えると、このS字カーブが崩れてしまい体幹を支える力を失ってしまうのです。

それだけでなく、それだけ重たい頭が正しい位置からズレてしまえば、首の骨だけで支えるのは困難なため、そのズレを首周りの筋肉が支えようとしますが、もともとその筋肉は首を支えるための筋肉ではないので、当然、無理をすればするほど体は首を中心に歪んでしまいます。

そうなってくると、体を効率よく支えることが出来なくなるため、体が疲れやすくなって無意識のうちに座れる場所を探すようになってしまい、「体幹が弱いから動かない→座りっぱなしになるから余計に動けなくなる」という悪循環に陥っていってしまうわけですが、それに気付いている現代人はほとんどいないでしょう。

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↑崩れたS字カーブを支えるために首の筋肉が使われ、首を中心にカラダが歪み始める

また、ストレス社会と言われている現代では座りっぱなしのリスクはさらに大きくなります。

太古の昔にまだ人間が狩りをしていた頃のなごりで、強いストレスを受けると、脳内でケガを治すためのホルモンが大量に分泌され体を治癒しようとするのですが、太古の時代と違って現代社会では動物に襲われるなどして肉体的なケガをしてストレスを受けることはほとんどないため、このホルモンは全く使われずに長時間カラダに留まってしまいます。

その結果、行き場を失ったこのホルモンは最終的に脳にとどまり、海馬や扁桃核にダメージを与えてしまうことで、集中力の欠如や記憶力を低下させ、アルツハイマー病やうつ病の原因にもなる可能性があります。

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↑ストレスと疲労がたまった状態で、座席に腰掛けスマホを使うことほど体に悪いことはない

しかし、最近の研究によれば運動によってアルツハイマー病などの原因となる脳内に付着した有害なゴミまでも除去できる可能性があることが分かってきました。

実際に、人の脳は35歳をすぎると老化が始まり、運動をする習慣がない人はそこから年に1〜2パーセントずつ海馬の面積が減少していくという報告がある一方、週3回程度の運動習慣がある高齢者の脳を調べると、記憶力の低下はほとんど見られず、むしろ記憶力のテストのスコアが向上していたのだそうです。

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↑自分の足で動く習慣さえ忘れなければ脳はいつまでも若々しくいられる

現代人はお金を払って利便性を手に入れた結果、健康を損なうことになりましたが、その健康もお金で解決できなくはないでしょう。

例えば、自分の年収の5パーセントを運動に投資すると、生活の質を大幅に上げることができると言われており、年収が300万円しかない人でも年収の5パーセントで15万円、一ヶ月あたり約1万円程度ですが、それだけあればジムに通うことができるでしょう。

もしくは、ジムに行くことができない人でも、ちょっと早歩きするとか、エレベーターを使わずに階段を使うなどして1日に15分程度の運動をするだけでも、座りっぱなしの人と比較して死亡リスクは14パーセントも減り、寿命が3年も延びると、台湾の国立健康研究所が発表していいます。

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↑1ヶ月に飲みに行く回数を2回減らすだけで、寿命が3年延びると思えば相当お得だろう

いまの世の中は、自分が動かなくてもワンクリックだけで欲しいものが自動的に自宅に運ばれるほど便利になり、現代の生活を例えるなら、体をチューブでつながれ、何もしなくても勝手に必要な栄養がカラダに送り込まれるかのようです。

ただ、それは裏を返せば現代人はチューブにつながれてベッドから動けない重病人のようなもので、実際に、現代人のほとんどが本当に病気になりつつあります。

現代の便利な生活は、ヤクザの世界より足を洗うのが難しいとよく言われますが、こんな時代に生きているからこそ、便利すぎることは時に不便を生み出すとよく肝に銘じる必要がありそうです。

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