欧米では”Tiny House Movement”と呼ばれる運動が巻き起こり、30平米程度の家であれば400万円前後で建てられるというのが主流になってきています。このようなミニマルハウスは、21世紀の都市化に伴う人口の増加や地価の高騰といったあらゆる問題を解決する”鍵”を握っているかもしれません。
今、世界中の都市で地価が上がり続けています。世界的に人口が増加していることから考えても都市部への人口集中は大きな問題となっており、家賃価格の上昇は私たちにとって切実な問題となっています。
こういった現状を打開するために、エストニアのデザインカンパニーであるKodasema社がデザインした「Koda House」と呼ばれる一辺が25mの正立方体の家は、キッチンや寝室、バスルームにテラスまで備えていながら7時間未満で組み立てることができ、しかも完成した後でも移動させることができるのだそうです。
シンプルでありながら多機能的なデザインは住宅としてだけでなくカフェやスタジオ、ワーキングスペースとしても活用することができ、小さな空きスペースをより効率よく使う方法として注目を集めています。
(出典:kodasema.com)
また、サイズを小さくすることでエネルギーの使用を抑えた暮らしも実現できます。オランダに拠点を置くNice Vision社が設計した「Ecocapsule」は、太陽電池とミニ風力タービンを備えた屋根によって、必要となる電力を全て自給し、発電ができない時でも最低4日間は使用できる充電式バッテリーを搭載しているのだそうです。
他にも、米・シアトルでは高校生がプロの建築家と協力してホームレスのためのスモールハウスを作ったり、スロバキアのバンスカバイストリカという都市では道路わきに設置された看板に家を合体させ広告収入によりホームレスへ無料で住居を提供するといった取り組みが行われていています。このようにミニマルハウスは単に私たちの生活を変えるだけでなく、社会の問題を解決するための大きな可能性を秘めていることが分かります。
(出典:hello.nicevisions.com)
「家を買うことは一生に一度の大きな買い物である」――これはまだ、私たちの中に強く浸透している考えかもしれません。しかし、無駄なものがそぎ落とされたミニマルハウスに住もうと考える人が増えているように、都市化や人口の増加等、社会が変化していくにつれて家のあり方や、家を購入するということがどんどん多様になっていくことは間違いないと言えるでしょう。