不動産の分譲業とは「建物の建設を行い、それを分譲して収益を得る事業」のことをいいます。用地の取得から物件の開発、販売から引渡しまでの一連の流れは、一般的にマンションの場合で1~3年かかると言われています。
この1〜3年の間に地価が下落すれば土地や建物の相場が下落してしまうため、不動産業者は開発期間が長ければ長いほど不動産の価格変動のリスクを心配しなければなりません。しかし最近は建設もテクノロジー化が進み、家やマンションを建てる期間が短縮されてそのリスクが軽減されることが期待されているのです。
例えば、ソフトウェアを使いながら建設機械の稼働時間や燃料消費量のデータを自動で取得・分析、事前に重機(ショベルカーやクレーン車など)のオイル交換やメンテナンスが必要な時期を把握することで、工事中に機械が動かなくなるという予測不能な事態は起こらず、スムーズに工事が進められるようになるそうです。
日本では国内のシェア1位を誇る建設機械メーカーのコマツが、建設現場のテクノロジー化を進めています。コマツは、工事を始める前の測量データやGPSによる位置情報などから得たデータを建設機械に連動させることで、世界で初めて半自動式のショベルカーを開発しました。
ショベルカー自体にもベテラン作業者の操作データから割り出されたアルゴリズムが搭載されており、機械が自動で数センチ単位の細かい動きをしてくれるため、人の手により複雑なレバー操作をする必要がなく、初心者であってもベテラン同様レベルの高い作業が簡単にできるようになるのです。
現在日本では建設業界の人手不足が深刻な問題となっており、工事の遅れによる工事期間の長期化に影響しているそうです。コマツ執行役員の四家千佳史さんは、2025年までに建設技能労働者の4割が離職することで130万人もの人手が不足がすることを指摘しながら、「この課題を解消するためには建設機械とテクノロジーをつなげ、労働者全員の生産性を上げることが重要だ」と強調しています。
さらに四家さんは「工事の現場は予定通りには進まない不確実性の塊」とも話していらっしゃいます。建設現場のテクノロジー化が進んで予測不能な事態を回避できスケジュール通りに工事を行えるようになれば、不動産業者にとっても経営計画を立てやすくなるかもしれません。