どの業界でも単純な作業はどんどんロボットやAIに行わせようという流れにある中、スイスの連邦工科大学チューリヒ校の研究チームによってロボットによる住宅の建設プロジェクトが行われているなど、家を建てるロボットが大きな注目を集めています。
これまでテクノロジーの導入が遅れていた住宅建設の分野ですが、現在では、タイル張りや煉瓦掛け、溶接、解体、コンクリートのリサイクルなどの反復的で予測可能な領域におけるロボットの活用が行われはじめました。
このままロボットの開発が進めば、材料の取り付けや仕上がりの具合といった人間的な感性を必要としない作業において、ロボットの使用が一般的になるのもそう遠くはないのかもしれません。
(出典:連邦工科大学チューリヒ校のYoutubeページより)
オーストラリアのFastbrick Robotics社はレンガを積んで家を建てる巨大なアームロボット「Hadrian(ヘイドリアン)X」は人の20倍の速さでレンガを積み上げるといい、人間の作業員が行うと4~6週間かかる作業を2日で終わらせてしまうといいます。
この「Hadrian X」が作ることができるのはレンガ造りの家に限られていますが、機械学習を行わせるなどしてこういった技術を発展させていけば、最終的には今の私たちが住んでいるような現代的な家も建てることができるようになるはずです。
近くに積んである建築材などの情報を読み取ってブロックを積み上げることで、大きくて複雑な構造の建物でも作れるロボットの「テルミット」がハーバード大学の研究者によって開発されたことはサイエンス誌にも取り上げられています。
日本でも清水建設がロボットを積極導入することで、今ある人の作業を30%まで減らす「シミズスマートサイト」という建築システムを構築しているように、ロボットは住宅建築の場に確実に用いられているのです。
建設業における死傷者数は年々減っているとはいえ、2016年時点で年間15,508人が建設作業中になんらかの事故にあっています。
こうした建築のプロセスをロボットに完全に任せることができれば、作業する人たちのリスクは限りなく0に近づき、その分人が頭を使って家のデザインや機能面の設計に注力することで、私たちはより安価で質の高い家に住むことができるようになるのではないでしょうか。