(出典:東洋経済<写真:梅谷秀司>)
いままで信じこんできたモラルセンスがゴッソリ根っこから覆される本との出合いはひさしぶりです。近年、IoTなどといったテクノロジーの進捗により、ありとあらゆる業界のタテの障壁が溶かされて無くなりはじめた。こういう時代に欠かすことのできないのは、各業界の障壁を軽やかに乗りこえていく「越境者」なのです。越境者には、次から次にやりたいことをハシゴしとおす「多動力」が不可欠だと筆者は言っています。
筆者の堀江氏は、石の上にも三年、完璧主義といったモラルセンスをぶった斬り、180度の変換を目指していく。この先の世の中で大事になってくるのは、「自分の時間」を生きることである。ビジネスを効率的に進める創意工夫をし、原液のように凝縮された中身をつくることにより、あなた自身の分身が役割を果たしてくれるようになり得る。「あ~、堀江さんだからこそできるんでしょう?」と一蹴するのは早計です。本書に紹介されている思考は、とかく規定が多くある会社勤めの人でも明日からスタートできる内容ばかりです。
堀江氏の著書の優れた点は、「誰かに言葉にしていただきたかった核心」が突きつけられ、世の中に対する挑戦のポイントを良化するチャンスを獲得できる点にもあります。パッと見バラバラになった行動を、あっちもこっちも試してみるライフスタイルだって有りだと思います。本書を読めばそう感じずにはいられないはずです。
いまどきのライフスタイルに疑問をもつ方は、新しいライフスタイル・ワークスタイルのベスト版としてあれこれ考えずに本書に目を通してはいかがでしょうか。これからの人生を1秒あますところなくワクワクで埋め尽くしてみたくなるに違いないと思います。
本書には概略でピックアップした題材以外にも、「経費精算を自分でやるサラリーマンは出世しない」、「99%の会議はいらない」、「1晩10軒以上ハシゴしろ」といった、多動力を機能するための行動指針やコツが満載です。この先のご時世において、いかに多動力が重要な能力なのかがわかることでしょう。ずばり、堀江氏がこれまで発信してきたカルピスの「原液」の濃縮版といえる一冊ではないでしょうか。
「一つのことを極めるべき」、「苦しいことを我慢して行うのが美学」。本書に目を通し、このような呪縛から解放されれば、より多くの人がインテリジェンスを開花させ、生きやすくなるのは間違いないと思います。
- これからは産業の障壁を軽やかに超越する「越境者」が必要とされる。越境者に必要なのは、次から次にやりたい事をハシゴし続ける「多動力」である。
- 多動力を発揮するには、なにか一つのことにサルのようにハマり、飽きたらすぐに次に移り変わること。
- 「原液」のように凝縮された内容を見いだすことで、それにのめり込んだあなた自身の分身がいつの間にか仕事をしていただけるようになる。
- これからの人生に目標はいらない。ワクワクすることにハマれば成果はあとからついてくる。