ノルウェーの北部に位置するスヴァルティセン氷河の麓に、世界初の自家発電を行うことができる「Svart Hotel」の建設が進んでいます。このホテルが位置する場所は北極圏の中にあり、自家発電を行うことができるホテルであるゆえに、世界で最北端にある発電施設ともなります。
近年の観光業では、地域文化や自然を残しながら観光を通し経済を発展させるサスティナブルツーリズムという考え方が浸透しており、Svart Hotelのように最新技術やデザインを使用して、自然を保護しながら観光業へとつなげていくエコツーリズムもその考え方のひとつです。
Svart Hotelでは、ユニークな円形の建物とガラス張りのデザインが、太陽光を最大限部屋の中に取り入れることで、日中の電気の使用量を抑えたり、ホテルの屋根がソーラーパネルで覆われていることにより、通常のホテルに比べて約85%の消費エネルギーを抑えることができます。
(出典:Svart HotelのHPより)
通常、ホテルが自然破壊につながる原因の一つとして、海面を上昇させたり、生態系を狂わせる地球温暖化の原因となる温室効果ガスのCO2があります。
例えば、火力発電から再生エネルギーに変化をさせることによって、中型ホテルの場合だと年間68.500㎏のCO2の排出を抑えることができます。2015年度の一般家庭からのCO2排出量が世帯当たり約4,940㎏であることから考えても、再生エネルギーに変えるだけでかなりのCO2の量を減らすことができるとわかるでしょう。
国外に限らず、日本でもエコツーリズムに取り組む活動は浸透しつつあります。その一つにオープンと同時に世間で大きく取り上げられたH.I.Sホテルグループの「変なホテル」です。
(出典:変なホテルのHPより)
このホテルは、ロボットにより運営されていることで大きく注目を浴びましたが、その裏ではエコツーリズムの概念に沿って新しい取り組みがなされていることも忘れてはなりません。
ホテルの空調システムには、通常のエアコンに加えて、温度の高いところから低いところに移動するという熱の自然原理「輻射」を使用した、輻射パネルが採用されています。
輻射パネルはその温度の移動を利用し、冷水や温水をパネルの中に通すことで、風を起こさなくても部屋全体の温度を調整することができます。
風を起こさないためエアコンを使用するときに感じる室内の乾燥を防ぎ、エアコンと組み合わせることによって約34%の電気代を抑えることもそのメリットとされているのです。
(出典:Boy is 8s.)
今回紹介した「Svart Hotel」や「変なホテル」のように、最新技術を利用し、その土地に合った発電方法や省エネの方法を考えれば、どんな地形においても環境に危害を加えることなく宿泊施設を建設することができます。
最新技術の研究が進むと、映画や漫画の世界の中だけにみられるような、奥深い森の中や深海の中でも家を建てることができるかもしれません。