Good Life Journal

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地球を守りたいなら木を切れ「木造建築は過去の産物ではなく、未来の姿。」

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住友林業が2041年を目標に、高さ350mの木造高層ビルを、東京に建てる計画を発表しました。近い将来、木のぬくもりを感じることができる高層ビルによって、テクノロジーと自然が調和し、人間が破壊してきた地球環境を、もとある姿に近づけることができるかもしれません。

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(出典:http://sfc.jp/

80階建ての木造建築ビルの建設計画を進めているケンブリッジ大学が、ビルを木造にするメリットとして、居住者の健康効果を挙げるように、木材が健康に与える影響は大きいと言えます。

例えば、教育現場において鉄筋校舎で勤める教師は勤務年数が長くなるほど、イライラの状態や、抑うつ、不安兆候という精神状態が安定しない症状が増加する傾向にありますが、木造校舎となると、一定であまり変化をしません。また、インフルエンザか風邪で学級閉鎖になっている割合は、鉄筋校舎だと2割強であるのに対して、木造校舎は1割にとどまるという統計も出ています。

加えて、木材で高層ビルを建てることは、ビル内で生活する人だけにメリットがあるわけではないようです。木造高層ビルを建築するためには、木造住宅の約8000棟分にあたる、185,000㎥を必要とし、このように大量の木材を使用することで、約3割にとどまる国内木材自給率を回復させるきっかけとすることができます。

自給率の低迷によって定期的に木の伐採が行われないことや、木を伐採するための人材不足などにより、国内の森の荒廃が進んでいるのが問題視されていますが、木造建築で大量の木を使用するために伐採し、森を整備することで、CO2を吸収することができる木々が育ちやすくなります。

この吸収されたCO2は、伐採されたあとも空気中に放出されず、「固定化」と呼ばれる機能によって、木材の中で炭素としてとどめることができるのです。

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例えば、今回の住友林業が発表した木造高層ビル建築に必要な木材、185,000㎥に固定することができるCO2量は、約10万CO2トン。このように、大量に炭素を木材に閉じ込めることで、地球温暖化にもっとも影響が強いと言われる大気中のガスである、CO2の削減になります。

CO2は地球温暖化を進める温室効果ガスの1つで、宇宙に逃げてしまう太陽の熱を地球に留めておくことにより、生物が育つ最適な気温を保つ役割をしていますが、この温室効果ガスが増えすぎることによって、宇宙空間に放出されるはずの熱が地球にこもってしまい、この熱が地球全体の温度を上げ、氷河が解けて海面の上昇につながったり、生態系のサイクルを不安定にさせることにつながるのです。

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(出典:Japanese-style trelliswork on the roof of a trendy modern office block. Camera: Canon 5D.)
しかし、木造建築では火災や地震に対して不安を感じることもあるでしょう。そのような不安を払拭するべく、建物の強度を高める技術開発が進んでいます。

住友林業が発表した、木造高層ビルの建築に使用されるのは、木材と鋼材を組み合わせたハイブリッド構造と呼ばれるもので、木材でつくられた柱と梁の枠の対角線上に鉄骨制振ブレースと呼ばれる補強部材を入れることで、鉄筋構造に劣らない強度にすることができます。

さらに、木造高層ビルの建築で注目されているのは『クロス・ラミネーティッド・ティンバー(CLT)』と呼ばれる集合材で、これは、直交集成板と訳すことができますが、その名の通り複数の角材と木の板を繊維方向を直交するように組み合わせることで、鋼鉄と同様の強度を持たせた木材です。

また、このCLTと呼ばれる複合材料は、デジタル製造プロセスと組み合わせられたことで、より高い木造のビルを建設することを可能にしました。加工手順などをコンピュータに入力する、コンピュータ数値制御(CNC)を利用し、切削工程をより正確に、そして大量生産を可能にしたフライス加工がデジタル製造プロセスの1つです。まさに、デジタルの技術が従来の木造建築様式の可能性を広げた例であるといえるでしょう。

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(出典:Cropped shot of a young computer programmer looking through data)
実は、欧州では1995年頃からCLTの技術は発展を遂げており、既にいくつかの木造ビルが建てられています。

ノルウェーでは世界最大となる18階建ての木造ビルが、今年2018年の12月に完成する予定であり、コンクリート建築が台頭する以前に主流だった、かつての木材の建築様式が再びグローバルスタンダードになることでしょう。

古くから存在する木造建築が技術の進歩で見直されているように、建築以外の分野において現在失われつつある伝統や自然も、最先端技術によって、今後復興させることができるかもしれません。

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