建物の維持管理費は、実は設計や建設費よりもかかると言われています。
というのも、建物の維持管理業務は設計図や竣工図を見ながら行うのですが、これらの資料には設備の詳細までは記載されていませんから、設計図と竣工図のほかに設備の一覧表も付き合わせながら「どの場所に何の設備が設置されているか」「型番や仕様はどのようになっているか」などの確認作業を行わなければならず、建物の維持管理には時間と人件費がかかるものとされているのです。
そのため、不動産に関わる費用を削減するには設計や建設コストを低減することはもちろん、大幅なコスト削減を実現するには維持管理にかかる費用の低減を目指していかなければなりません。
最近では、ソフトウェアを使いながらコンピュータ上で建物の維持管理業務を行うケースも出てきており、例えば、アメリカ、サンフランシスコに本社を置くエコドムス社は維持管理業務用ソフトウェア「エコドムスFM」をリリースしています。
このエコドムスFMは3Dの設計図や竣工図のデータと連携させながら使用するのですが、3D図面のデータと建物内の設備情報(型番、仕様など)を連動させることで、今までは複数の資料にまたがっていた情報をコンピュータ上で1つに統合することができるのです。
これにより、3D図面を見るだけでダクトの位置を明確に知ることができたり、配管の種類や数量などの情報を瞬時に把握することが可能になると言います。
(出典:https://www.slideshare.net/mbordenaro/ecodomus-presentation-to-chicago-bimipd-community)
また、設計図や竣工図の内容を把握するのは図面を読むことに慣れていない人にとっては難しいのですが、エコドムスFMでは建物のつくりだけでなく設備の位置情報までもが3D画像で確認できるため、ベテランの域に達していない人でも正確にそして素早く、建物の状況を把握できるということでしょう。
つまり、水漏れが発生した場合でもエコドムスFMで管理していればコンピュータ上でどのバルブを閉めればよいかが、ベテランに限らずすぐに突き止めることができるというわけです。
(出典:http://ecodomus.com/products/)
煩わしいと感じていた業務はどんどん簡易化され、初心者の人でもプロフェッショナルに近い仕事をこなせるようになっている時代ですから、不動産業者に求められるものも変わっていくことが予想されますし、私たちは新しいことにチャレンジしていかなければなりません。