Good Life Journal

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子供が生まれると家族総出で近所へ引越す中国と、「自分で産んだのに自分で育てていない」と後ろ指をさされる日本。

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毎年、長者番付ランキングを発表しているアメリカのフォーブス誌は、2017年3月に行われた「国際女性デー」にて一代で10億ドル(約1145億円)以上の財産を築き、自力で億万長者になった女性のランキングを発表し、トップ10のうち実に8人が中国人であることがわかりました。

ランキングの対象となったビリオネア女性は過去最多の56人で、うち21人が中国人、日本人でランクインしたのは48位に一人のみで、力と勢いの差を見せつけられた形になります。

このように中国人女性が経済的、社会的成功を収めてきている理由の一つに、中国では女性が子供を祖父母やオジオバら家族に預けて働きに出るのが当たり前という風習があります。

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↑中国の経済力の背景には、日本とは全く違った家庭事情がある

中国では子供が産まれると、どんなに遠くにいても家族総出で近所へ、時には海外までも引越しをし、子供は祖父母が育て、母親は仕事へ行き独身時代と同じように、子供や家事に制約されない自由な時間を謳歌するそうです。そして社会全体でそれを当然と見るので、「母親なのに、自分で子供を育てていない」と引け目を感じたり、周りの目を気にすることもありません。

同族コミュニティを強く形成する中国のお国柄も、影響しているのでしょう。社会学者の故小室直樹氏は中国の血縁共同体を意味する「宗族」は日本にもアメリカにもない強い結びつきを持つもので、単なる「親戚」「親類」とは違うと説明します。

外国で出会った見知らぬ中国人が、同じ宗族だと分かればとたんに兄弟のように親しくなり、証文なしに借金をすることも当たり前なのが中国人の宗族という血縁共同体なのだそうです。

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↑中国では社会から「母親なのに、自分で子供を育てていない」と言われることはまずない

一方、核家族化した日本では父親が夜に仕事から帰ってくるまで、母親と子供は2人きりで過ごし、母親が当たり前に一人で育児をする、という現実があります。待機児童問題で、預け先もままならない昨今、子育てと主婦と仕事のまともな両立は難しく、キャリアアップなんて夢のまた夢…というのが日本のワーキングマザーが直面している現状ではないでしょうか。

中野円佳氏は東大卒の元キャリアで、自身が産休と育休を経験した後に大学院へ進み、働く女性のジレンマについて研究をした女性です。彼女は、出産後仕事をやめた人や続けた人など、様々なケースがの母親たちにインタビューをして、日本は、周りに助けてもらいながら子育てをするアジア的な子育て支援を受けづらいと思われる実態を探りました。

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↑日本はアジアの国なのに、アジア的な子育ての支援が受けづらい不思議な国。

中野氏によると、親から熱望されたのでもなく自分たちが生みたくて産んだ子供だから、親を頼るべきではないという意識を持つものが多く、また、一度経済的自立を果たした後に結婚もして、親元を離れたにもかかわらず、再び頼ることへの抵抗感や、夫婦の問題を自分たちで解決できないという心理的な負目を感じる声が多いというのです。

この根底には、「日本社会は母親に育児責任を果たすことを強く求める」独特の空気感が関係しています。

たとえば、有名人の離婚後、子供の親権が父親になると、なぜ母親でなく父親が引き取ったのか?という点に人は必ず触れますし、果ては有責が母親で浮気をしたのではないか、などといった邪推をされてしまうこともありますが、こうした反応はひとえに日本社会が普段意識することなく抱えている、母親が責任を持つのが当然で自然、という考え方があるのではないでしょうか。

フォーブス誌のランキングの結果は、女性が働きやすい中国、女性が働きにくい日本、という現実が如実にあらわれたものだと言えます。

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↑日本社会は母親に育児責任を果たすことを強く求める独特の空気感がある

すでに共働きが当たり前になっている世の中で未だに、子育ては母親の仕事という考えが根付いているようでは、女性の社会進出や経済の活性化などは机上の空論であり、中国との差は大きくなるばかりでしょう。

アジアでは既に当たり前にとなっているように、家族や社会全体で子育てをして、女性が子供を産んでも働き、更には経済の中心を担えるくらいのキャリアを積める、そうした環境を日本でも早急に整える必要があるのではないでしょうか。

小室直樹の中国原論

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  • 発売日: 1996/04
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