皆さんは、才能が2倍あって人の半分しか努力しない人と、才能やスキルはそれほど大したことはないけれど、長期間しっかり努力するスキルを持っている人であれば、最終的に成功するのはどちらだと思いますか?
ペンシルベニア大学のアンジェラ・ダックワース教授の調査によれば、後者の努力家タイプの方が圧倒的な差をつけて勝利するのだと言います。
このアンジェラ・ダックワース教授が書いた「やり抜く力」という本をご紹介させて下さい。
会社の仕事にしても、何にしてもそうなのですが、ある程度何年も同じ仕事をしていると、とくに意識せず全力でやらなくても通常の仕事を終わらせることができてしまいますよね?
ある調査によれば、20年の経験がある教師、医師、そしてドライバーなどは、5年しか経験がない人よりスキルが劣っている可能性があることを指摘しています。つまり、ある程度の努力でこなせるようになった仕事は意識的に負荷をかけていかないと、能力やスキルはどんどん劣化していってしまうんですね。
短期的に結果を出すことはもちろん大切ですが、長期的に結果を積み重ねていく「やり抜く力」がなければ、時を超える企業として半永久的に繁栄し続けていくことはできません。
皆さんはエンロンという企業をご存知でしょうか?世界最大のエネルギー取引企業として1990年代はアメリカでもっとも革新的な企業として知られていました。
しかし、「自分が誰よりも優秀だと証明してみろ」と経営陣が従業員に対してメッセージを送り、とにかく短期的な結果を重視する文化へと舵を切ったため、2001年に当時としてはアメリカ史上最大の企業破綻として倒産してしまったのです。
当たり前ですが、企業とは短距離走ではなくマラソンを意識しなければなりません。ある有名なハーバード大学の調査では、若い時にマラソンで長い距離を走れた人は、その後の人生を通じて、何がなんでも物事をやり切り、長期的に成功し続ける要素が強いことが分かっています。
アメリカのジョージ・H・W・ブッシュ元大統領も、人生で成功する秘訣の80パーセントは、毎日めげずに顔を出すことだと言っているんですね。皆さんも才能と努力するスキルは全く別物と考えてみて下さい。
最終的には才能なんかよりも、努力するスキルの方が何百倍も大切なのですから。

やり抜く力 GRIT(グリット)――人生のあらゆる成功を決める「究極の能力」を身につける
- 作者: アンジェラ・ダックワース,神崎朗子
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2016/09/09
- メディア: 単行本(ソフトカバー)