現在、世界は少しずつ資本主義社会から信用主義社会にシフトし始めており、お金そのものではなく、お金を生み出す元となる信用(クレジット)を作り出すことがビジネス面でも大きな意味を持つようになってきています。
よく世の中は「Give&Take」で成り立っていると言われ、実際、大半の人は自分の利益、つまり「Take」という目的を達成するために、「Give」をすることが圧倒的に多いのですが、ペンシルバニア大学ウォートンスクールのアダム・グラント教授は、他人に恩を与えることの見返りを求めず、とにかく与え続けることができる人が次の時代の成功者なのだと断言します。
また、スタンフォード大学のフランク・フリン教授の調査によれば、見返りを求めず相手に「与えること」だけに徹して行動した営業マンは、そうでない営業マンに比べて、年間の収益が平均で50%も高く、世界第2位のブティックホテルチェーン、ジョワ・ド・ヴィーヴルの創業者チップ・コンリー氏は次のように述べています。
「ギバー(与える人)であることは100メートル走では役に立たないが、マラソンでは大いに役立つ。」
漫才コンビ、キングコングの西野亮廣さんは、お金をもらうタイミングを後ろにズラすと「面白い」の可能性が増えるとして、1ヶ月間、仕事をほぼ全部サボって、無料で個展を開き、徹底的にお客さんを楽しませたところ、自分が絵本を出す制作費、1000万円がクラウドファンディングですぐに集まったのだそうです。
「お金を稼ごうとすると、どこから手をつけていいのか迷うけど、信頼の面積を広げるという風に考えると霧が晴れる。」昔話みたいな話ですが、やはり与えた恩は必ず返ってくるもので、受ける恩を後ろに伸ばせば伸ばすほど人生や仕事もどんどん面白くなっていくのではないでしょうか。
家族や親友などの強い繋がりは「絆」を生み出し、ビジネス関係などの比較的弱い繋がりは「橋渡し」の役割を持っており、この弱い繋がりをどれだけ重視するかで1年後、2年後の結果は大きく変わってくることでしょう。
21世紀の不思議な法則とは、「他人の利益を優先すればするほど、人間関係から多くの恩恵が得られる」ということなのかもしれません。