まだ世の中に存在しない10年後の新しいビジネスを作れる人というのは、ただ真面目に日々の仕事をしている人ではなく、徹底的に自分の好きなことに打ち込める「遊びの達人」で、真っ先に遊びのスケジュールを入れる人ほど時間単価の価値が高いのだと言います。
新しいアイディアを出すのは才能ではなく、どれだけ素晴らしい体験をしているかにかかっており、今までと全く違う経験をして、仕事を別の角度から捉える「価値観のバイリンガル」にならなければ、10年後の新しいビジネスを作ることはできないでしょう。
元サッカー日本代表の中田英寿選手も「遊びを徹底的に追及していくとそれがいつか仕事になる」という名言を残していますが、人工知能が人間の仕事を代行していく時代には、趣味という概念がなくなり、むしろ遊びを本気の仕事として、徹底的に遊ぶ努力をしなければ、自分の仕事がなくなってしまうことが十分ありえる時代です。
今や億単位の賞金を稼ぐプロゲーマーや上場企業よりも多くのアクセス数を稼ぐユーチューバー、そして、ドローンで一日中遊び続けるクリエイターまで、自分も楽しみ、他人も楽しませることができる才能こそ、これからの時代に求められていることなのでしょう。
「ワーク・シフト」の著者でロンドン・ビジネススクール教授でもあるリンダ グラットンによれば、これからの仕事で創造性を発揮する方法は仕事と遊びの境界線をあいまいにすることで、本田宗一郎さんは年間5500時間(1年間1日も休みなしで、1日15時間)を35年続けるほどの仕事人でしたが、遊ぶ時は徹底した遊び人で、遊ぶ時間を確保するために、床屋に行く時間も惜しいとして次のように述べています。
「遊ぶ時間のない人生なんてばかばかしい。 働くに働けなくなっちゃう。それを床屋にみんなとられて平気でがまんしているなんて、 私みたいなのにはとても耐えられない。 遊んだ方がよほど有効だ。私は床屋へ行くために働いているのじゃないのである。」
好きであるはずの遊びに真剣になれない人が、仕事に対して真剣になれるはずがありません。