世界の建設市場規模は2015年時点で約453兆円とも言われていますが、イギリスのグリーン・ビルディング協会によれば調達スケジュールや管理ミスなどで建設資材の15%が無駄となり最終的に廃棄されているそうです。
また、アメリカ建築家協会でもアメリカ全土から出されるゴミの25~40%は建設関連の廃材と言われていて、各国で建設資材にかなりの無駄が出ていることがうかがえるのと同時に、建設費用についても莫大な金額が無駄となっていることが容易に想像できるでしょう。
このような建設資材や建設費用の無駄に関する問題を解決してくれるのは、建築設計や建設現場向けのソフトウェアを製作しているテクノロジー企業テクラ社が開発したソフトウェア「テクラ・ストラクチャー」です。
このテクラ・ストラクチャーでは3Dの工事図面が作成できるほか、作成した図面から仮設用の足場材や鉄骨の添接板(部材を接合するために側面に添える鋼板)がどのくらい必要になるかを算出すると同時に、足場材や添接板の仕様まで表示することができます。
(出典:tekla.com)それぞれの数量と仕様が明確になれば過不足なく資材の調達ができますし、仕様の違いで建設資材を無駄にすることもなくなるのですが、これもすべて3Dで作成した図面の精密性や正確性が高いためです。
建物の構造情報も精密度の高いものが提示されますから、ボルトのような小さな部品も1本単位でどのようなものがどれくらい必要かを正確に導き出してくれると言います。
(出典:tekla.com)
必要なものを必要なだけ調達することができれば資材も費用も無駄になることはありませんし、数量集計時に概算見積もりを出すこともできるため、例えば「この部屋を追加すると◯◯円高くなります」といった具体的な提案が可能になるでしょう。
フィンランド、ヘルシンキのセントラルパーク横にあるエリアで集合住宅を建設した際もテクラ・ストラクチャーが活躍したそうで、現場ではテクラ・ストラクチャーが表示した部材を調達、どの部分にどの部材がどれだけ必要かというのを明確に知ることができたため資材のロスも減り、また、資材の管理にも役立ったと言います。
(出典:https://www.tekla.com/us/references/helsinki-gramofoni)
資材管理が徹底され資材や費用の無駄がなくなれば建築コストが抑えられますから、今後、“格安物件”と呼ばれる物件が増えることになるかもしれません。