グーグルやテスラモーターズは積極的に自動運転の開発に力を入れており、将来的には自動運転の普及によって都市の車は最大で90パーセント近く減少、さらに次の30年で都市の駐車場は半分になって、今は当たり前に存在するガソリンスタンドも消えてなくなることが予想されます。
実際、自動運転の普及は自動車業界に大きな影響を与えることであって、他の業界にはあまり関係のないように思えるかもしれません。
しかし、自動運転が他の業界に与える影響は想像以上に大きく、19世紀にはじめて電車が登場し、20世紀には車と高速道路が普及した時に、人々の住み方、暮らし方が大きく変わったように、21世紀の自動運転も私たちの生活を大きく変えていくことでしょう。
例えば、都市に車が少なくなれば路上に車を駐車することもなくなるため、もっと歩道などを広くして歩行者が中心の街づくりを設計できるでしょうし、人間が車を運転する必要が無くなれば、車の中で本格的に仕事をしたり、移動時間を睡眠に当てることによって、事実上、通勤時間というものは存在しなくなります。
通勤時間が無くなれば、中間層は郊外よりもさらに都市から遠い空気が新鮮な田舎で、もっと広い家に住もうという人もどんどん増えるかもしれませんし、デューク大学のMissy Cummings教授も自動運転によるライフスタイルの変化について次のように述べています。
「Uber、Lyft、そして、Waymo(グーグル)は密集した都市の問題を解決しようと努力している。その理由はもちろんよく分かります。でも、自動運転の車が革命を起こすのは本当に都市の密集したエリアなのでしょうか?しかし、私が思うに、自動運転による大きな変化は都会以上に地方や田舎の生活を大きく変えることになるでしょう。」
また、車を所有する必要が無くなることで、自宅の車庫やマンションの駐車場を無くして、もっと広い庭を作ることができるでしょうし、自動運転が普及して物流のオペレーションが24時間営業になれば、建設の資材の移動なども早くなるため、家がつくられるスピード自体もどんどん上がっていくことが考えられます。
よくよく考えてみれば、車というものは走っている時間は全体の10パーセントぐらいで、実際に90パーセント近くの時間はどこかに止められて、何もしていないわけなので、都市開発の視点から見ても非常に非効率だと言えます。
すでにアメリカで都市開発に関わる人達は、駐車場、ガソリンスタンド、そして車屋が無くなる前提で、都市の新しい空きスペースを考えて動き出しているようですが、19世紀に電車が、20世紀には車が私たちの暮らしを大きく変化させたように、21世紀の自動運転も今までの生活を根本的に変えてしまうほどの衝撃的なインパクトを持っていることは間違いないと言えるでしょう。