不動産業界では徐々にVRやARといったバーチャル技術が広がりを見せていますが、その場にいなくても遠方から物件を内見することができたり、家具配置のシミュレーションを行うなど着実に活用されるシーンが増えてきています。
さらに近年では、自分が今見ている現実の世界にデジタルで作成した仮想の物体を合体させ、仮想の物体を360度の方向から見ることができる「MR(Mixed Reality=複合現実)」と呼ばれる新しいバーチャル技術が誕生しており、不動産業界ではこのMR技術の活用も始まっているそうです。
(出典:Microsoft/Youtube)
実際、大手不動産会社の野村不動産では新築マンション販売に、マイクロソフト社が開発したMR用ヘッドマウントディスプレイ「ホロレンズ」の導入を決定していて、購入を検討している顧客はホロレンズ越しにマンション建設予定の敷地を見ると、建物外観の完成イメージを見ることができます。
また、完成イメージを見ることができるだけでなくMRでは対象のものに近づいたり遠ざかったりすることができるほか、360度の方向から見ることができるため自分が仮想現実の中にいるような没入感を得ながら、完成予定のマンションを確認することができるのです。
(出典:Microsoft/Youtube)
このように顧客向けのサービスとしてMR技術の活用が期待されていると同時に、建築や建設従事者への活用も期待されており、新潟県にある建設会社、小柳建設でも建設計画や設計の打ち合わせ時にMR技術を採用しています。
同社社長の小柳卓蔵さんは「熟練の技能者たちが減っているのが業界の最大の課題です。2次元の図面を見て、頭の中で3次元化できたら1人前と言われていた。(中略)MRで3次元のデータを共有できたら、なり手のハードルも下がる」と述べていて、将来の担い手不足が深刻化している建設業界ではMR技術がこの問題の解決に一役買うのかもしれません。
(出典:Microsoft/Youtube)
平面図から完成物件を想像しつつ作業を進めることが当たり前とされてきた不動産業界ですが、現在その“当たり前”は確実に変化しつつあり、いずれはバーチャル技術で完成物件を見ながら作業を進めることが当たり前の風景となっていくのでしょう。